「DXをしない企業は淘汰される」は本当か?大勝負に出た富士通、外資から登用のNEC 

ITで外部登用相次ぐ

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【最前線に立つ】

人やモノから生み出される膨大なデータを経営資源として、新たな収益源やイノベーションを生み出し、自社の競争力を高める。これがデジタルトランスフォーメーション(DX)の真骨頂だ。その渦中に立つIT・情報サービス各社は、そのDXの基盤を顧客へ提供するだけでなく、自らの企業文化の改革をも含め、全社変革を急ピッチで推進する。

「DXをやるかやらないかではなく、やらざる企業は淘汰(とうた)される時代だ」とNECの新野隆社長は言い切る。こうした危機感は業種を問わず、すべての産業に共通する。

背景にはデジタル・ディスラプション(破壊的イノベーション)の荒波がある。中でもIT・情報サービス産業は人工知能(AI)など最新技術の活用を支援する指南役ではあるが、自らもクラウドベンダーなどの新興勢力との戦いにさらされ、旧態依然とした態勢のままではじり貧に陥るとの危機感は強い。

【新しいDNA】

そこでカギとなるのは変革のスピードと、けん引役となるDX人材となる。IT・情報サービス大手では、外部登用で新しいDNA(遺伝子)を取り込む動きが相次いでいる。

大勝負に打って出たのは富士通だ。PwCコンサルティング、SAPジャパン、日本マイクロソフト、インフォシス、マッキンゼー&カンパニーといった名だたる外資企業から相次ぎ経営幹部を迎え入れ、変革を急ぐ。

外資企業からの登用で先駆けたNECでは、日本GEや日本マイクロソフトに加え、日本IBM出身者の存在も際立つ。NECはターンアラウンド(方向転換)を掲げ、新規事業の創出に向けて着実に手を打っている。

7日、NECは銀行大手3行などとともに会見し、銀行が持つ本人情報を別の事業者が活用できる共通プラットフォームの提供で合意したと発表。本人認証での協業に先鞭(せんべん)を付けた。当面のサービス主体は銀行だが、将来的にはシェアリング社会の基盤作りを見据えている。

【産業を再定義】

「データから価値を生み出すデジタル資本主義への構造変化に向けて、アズ・ア・サービス(aaS)で産業を再定義することが必要だ」と語るのは野村総合研究所(NRI)の此本臣吾社長。世界中が新型コロナウイルス感染症で大揺れ状態にあるが、「コロナ禍後のパラダイムシフトよって、新たな事業機会が生み出される」と今後を展望する。

「全ての企業がAIカンパニーになる時代だ」と熱弁を振るのは4月に就任した米IBMのアービンド・クリシュナ最高経営責任者(CEO)。コロナ禍を転換点に、DXをいかに加速させるかが問われている。

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