失業はもちろん失望もさせない!雇用政策「労働移動」で難しい舵取り

短期とコロナ収束後の両方をにらむ

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雇用・労働を取り巻く環境は予断を許さない(写真はイメージ)

雇用・労働を取り巻く環境は予断を許さない。まずは新型コロナウイルス感染症の影響に対応した短期的な対策を迫られる。一方、長期化も念頭に雇用流動化に取り組み、それを支える施策が具体化し始めている。コロナ収束後もにらみ、テレワークなどデジタルを活用した変革に取り組む1年になりそうだ。

「この数値をもって底打ちとは言いがたい」―。11月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月比0・02ポイント上昇の1・06倍。2カ月連続で前月を上回ったものの、厚生労働省は新型コロナ感染症の拡大が続いていることなどから、先行きは見通せないという。

政府は雇用調整助成金の特例措置を21年2月末まで延長する。ただ休業が長引く中、働き手のモチベーションやスキルの維持も課題となっている。大切なのは「失業なき、というのはもちろん、失望もさせないための労働移動だ」という声が増えている。

そこで期待されるのが、創設予定の「産業雇用安定助成金(仮称)」。雇用過剰となった企業の社員を人手不足の会社に出向させる場合、出向元と出向先をそれぞれ助成する。政府は3次補正予算案の成立後の運用開始を予定している。

11月の労働経済動向調査によると、労働者過不足判断指数(D・I)は正社員がプラス25ポイント。四半期ごとの調査で不足超過は38期連続。コロナ禍にあっても人手不足と考える事業所が多いことを示している。人材のマッチング次第では、新たな雇用や事業の創造につながる可能性がある。

感染防止の緊急避難策として大企業、中小問わず導入が進んだテレワーク。経済活動を続ける応急手段だったが、コロナ収束後も活用できれば、時間や場所を問うことなく働き生活する、新たな働き方改革につながるだろう。そのためには行政が関連のガイドラインを急ぎ見直して支援するほか、企業側でも労使間で話し合って人事・労務管理などに関する環境を整え、業務・プロセスの改革に知恵を絞る必要がある。

(取材・縄岡正英)

日刊工業新聞2021年1月1日付

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