ネット中傷被害どう防ぐ? 弁護士が教える企業がとるべき対策

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「発信者情報開示」へ裁判

ネット中傷被害に遭った企業は、どのような対策を取ればよいのか。ネット訴訟や刑事訴訟を中心に手がける増田力法律事務所(大阪市北区)の増田力弁護士に、企業ができる対策や事例について聞いた。(姫路・村上授)

―ネット中傷の被害を受けるきっかけは。

「逆恨みが多い。勢いのある会社だと同業他社が足を引っ張ったりする。あとは社員。会社はもうかっているのに待遇が良くないなどがある。第三者が便乗して面白がって書くケースもある。内容として誹謗(ひぼう)中傷や事実無根のこと、社長個人のことなど内部の人しか知らないものもある」

―対策として「内容の削除」「発信者情報の開示」があります。

「開示の場合、掲示板や会員制交流サイト(SNS)の運営元に発信者の開示請求をする。この時点で裁判所の仮処分が必要な場合と、任意で開示してくれる2パターンに分かれるが、そこで開示されるのがIPアドレスと投稿日時だ。アドレス情報をもとに調べると管理元(プロバイダー)が分かる。そのプロバイダーに発信者情報の開示を求め、裁判する。そこで開示判決が出たら契約者が分かる。ただ、そのプロバイダーが他社にIPアドレスを割り当てていると、別途裁判をしないといけない」

―発信者情報の開示に、通常どれくらいの時間がかかりますか。

「裁判においてプロバイダー側が厳しく争ってくることもあるので、ケースによってまちまちだが、開示まで半年くらいはみていただきたい」

―削除請求という方法もあります。

「裁判所の仮処分で削除決定が出たら、通常の運営会社なら対応してくれる。ただ削除だと、被害者は裁判で大変な思いをしているのに、書き込む人は消されてもすぐ書き込める。開示の方が根本的な解決につながる」

―企業の対策は。

「開示請求の期限があるので、できるだけ早く専門家に相談してほしい。証拠はスクリーンショットなどで残した方が良い。投稿者が『まずい』と思って消す恐れがあるからだ。また、自分からは反論しないことだ。向こうは『反応するともっと書こう』となりがち。基本は無視するのが一番だ。その上で弁護士といった専門家に相談してほしい」

―メディアを用いた企業がありました。効果はありますか。

「誹謗中傷に反論すると炎上する可能性はあるが、リスク以上に周囲の人から誤解されているのであれば、対抗言論はありだろう」

弁護士の増田力氏

日刊工業新聞2020年12月29日

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