持ち株会社化の日本酸素HD、コロナ禍でも貫く”攻めの姿勢”

  • 0
  • 0
大陽日酸公式サイトより

日本酸素ホールディングス(HD)は10月、国内ガス事業を手がける大陽日酸などを傘下に持つ持ち株会社として発足した。同業の米プラクスエアの欧州事業買収で世界4位の規模となり、持ち株会社化により各地域の事業会社の権限を高めて迅速な事業展開につなげる狙いだ。産業ガスの重要性が見直される中、グローバル化の方針などについて、市原裕史郎社長に聞いた。

―持ち株会社化から2カ月余り、手応えはいかがですか。

「営業利益の3分の2が海外事業という状況で、日本の事業会社が海外事業も統括するより、各地域の事業会社に権限を委譲した方が良いと判断した。想定通りに進んでいる」

「ノウハウをどれだけつなげるかが重要だ。地域の事業会社で最も利益率が高いのは、(プラスクエアから買収した)欧州事業。効率化の知見を別の地域で生かし、工場のコスト削減につなげた事例もある。当社はプラクスエアに比べ、エレクトロニクス事業が強い。(半導体メーカー向けの戦略)『トータル・エレクトロニクス』を欧州にも広げたい」

―現在の4カ年中計が2020年度で終了します。次期中計の方針は。

「新型コロナウイルス感染症の収束状況が読みづらいため、21年度は1年間の計画とし、22年度に4カ年の中計を始める。現中計で掲げた『構造改革』『イノベーション』『グローバリゼーション』『M&A(合併・買収)』の戦略は今まで通り、新しい方向性を少し加える。まだ進出していない国はあり、もっと大きくできる。国連の持続可能な開発目標(SDGs)やESG(環境・社会・企業統治)に関する非財務指標も出す方針だ」

―水素社会実現に向けた動きが国内外で活発化しています。

「独リンデから(水素などを大量供給する)HyCO事業を19年に買収した。水素社会へのうねりが起きているが、どこにチャンスがあるかは、まだはっきりしない。燃料電池車(FCV)の普及状況などを見ていく」

―21年4月には親会社の三菱ケミカルホールディングス社長に、仏ロケットのジョンマーク・ギルソン最高経営責任者(CEO)が就任します。

「驚いた。(当社は)完全に外部の人材をトップにすることは考えにくい。米国、欧州のガス事業トップは当社の取締役だ。プラクスエア出身のアラン・デビッド・ドレイパー氏が執行役員財務・経理室長兼最高財務責任者(CFO)を務めている。国際力、総合力を強化するため、日本で働いてほしいと考えた」

日本酸素HD社長 市原裕史郎氏
【記者の目/コロナ影響も攻めの姿勢貫く】

足元では新型コロナによる経済活動停滞の影響を受けているが、電子材料ガスなどのエレクトロニクス分野は伸びている。医療用酸素やドライアイスの重要性も見直されている。「縮こまらずに事業を大きくし、企業価値も高めていきたい」と、攻めの姿勢を貫いている。(江上佑美子)

日刊工業新聞2020年12月29日

関連する記事はこちら

特集