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東芝・車谷社長インタビュー。株主還元策次第で退任圧力強まる?緊張感ある経営続く

東芝・車谷社長インタビュー。株主還元策次第で退任圧力強まる?緊張感ある経営続く

東芝社長・車谷暢昭氏(東芝提供)

東芝は2021年も成長軌道に乗る。固定費削減により基礎収益力がつき、コロナ禍でも業績は大きく落ち込まない。車谷暢昭社長に今後の経営方針を聞いた。

―21年の世界経済もコロナ禍の影響を受けそうです。

「主要国のGDP(国内総生産)が19年の水準に戻るのは、コロナ影響が少し残る21年ではなく、22年になる。日本も21年3月からワクチンの接種が始まり、21年中に国民の6割、22年に希望者全員まで行き渡ると仮定すれば、先進国のコロナ問題は22年までに大混乱が収まる。21年は完全回復はしないが、一定の回復ペースを取り戻せる年になる」

―25年度に売上高4兆円、コア営業利益(構造改革費やコロナ影響を除いた営業利益)4000億円を目指します。

「3年間で1300億円の固定費を圧縮したが、限界利益率の引き上げなど地道な活動で、あと1300億円の削減余地があるとみている。固定費圧縮によりコア営業利益3500億円まではすでに視野に入り、成長戦略で残る500億円を増やせばいい。できるだけ早く目標を達成し、25年度には目標よりもう少し上を目指す」

―キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が10月の上場を延期しました。保有株式の現金化で得る手取り金を基にした株主還元方針に変更はありませんか。

「IPO(新規株式公開)の時期はキオクシアと(筆頭株主の)米ベインキャピタルの判断になる。IPOの意思は継続して表明されており、いつかは上場すると思う。我々としてそれに際して現金化する方針は不変で粛々と対応するだけだ」

―システムLSI事業の撤退を決めたが、岩手と大分の半導体工場がまだ残ります。

「2工場はここにきてファウンドリー(受託製造)の受注が増え、稼働率も徐々に上がるめどが立ってきた。ファウンドリー事業を伸ばす上で、どんな体制がいいか検討中だ」

*取材はオンラインで実施

記者の目/経営に緊張感漂う

車谷社長はこれまでの業績回復に自信を深める。さらなる固定費圧縮にも取り組み、高収益体質へ改善する。全て順調に見えるが、死角があるとすればアクティビスト(物言う株主)の存在だろう。株主還元策の行方によっては退任圧力が強まりそう。緊張感のある経営環境が吉と出るか、凶と出るか。(鈴木岳志)
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日刊工業新聞2020年12月21日

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