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最先端のVRより「レトロな昭和の食卓」が人気!集合住宅の変遷を知ろう

最先端のVRより「レトロな昭和の食卓」が人気!集合住宅の変遷を知ろう

360度シアターで人類誕生から集合住宅の成り立ちまで紹介(長谷工コーポレーション提供)

集合住宅・マンションに住む市民が約7割を占める東京都多摩市。そんなベッドタウンならではの博物館がある。65万戸超のマンションの施工実績を誇る長谷工コーポレーションが建設した「長谷工マンションミュージアム」だ。

創業80周年の記念事業の一環でマンションの歴史やモノづくりの思いを広く発信する場として2018年10月にオープンした。360度シアターで人類の誕生から集合住宅の成り立ちまでを紹介する「はじまりの物語」や昭和と現在のモデルルームを実物大で比較する「暮らしと住居の変遷」、仮想現実(VR)で大規模な工事現場を疑似体験できる「まるごとマンションづくり」など、八つのゾーンで構成される。

原則、事前予約制で案内係が見どころを解説する。案内係は展示物に詳しいが、専門的な質問の場合はイヤホンマイク越しに江口均館長と連絡を取り「即座に回答する」(ミュージアム運営部)こともある。全部で4人の案内係がおり、今日はどのような質問が出たかを共有し合い、「知識の向上に努めている」(同)。

案内係が八つのゾーンの見どころを解説する

当初はVRなど先端技術を取り入れたゾーンが人気を集めると予想された。だが、ふたを開けてみると「アナログな新旧モデルルームの実物大比較の人気が高い」(同)。レトロな雰囲気の昭和の食卓や、武骨で配電盤を思わせる初期の大型インターホンなどが郷愁を誘い、「昔話に花を咲かせる参観者が多い」(同)という。

新型コロナウイルス感染症の流行前までは月平均500人が来館し、中国や台湾、ロシアからの訪問客もあった。ただ、現在は団体客の受け入れを中止しており、来館者は従来の約3割まで減った。最近はマンションの歴史が学べる貴重な施設である点を生かし「新入社員や関係会社社員の研修の場としても活用」(同)している。

※新型コロナ感染防止のため体験型展示物を一部休止。見学は1日5回の事前予約制で1回4人以下とする。

【メモ】▽開館時間=10―17時(第2・第4土曜日、日曜、祝日は休館)▽入館料=無料▽最寄り駅=多摩モノレール線「多摩センター駅」、京王・小田急線「多摩センター駅」▽住所=東京都多摩市鶴牧3の1の1▽電話番号=0120・808・385

日刊工業新聞2020年12月18日

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