造船業界が生き残りへ最終局面、再編で本当に中国・韓国と対抗できるの?

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JMUの呉事業所

官民一体で立て直し急務

造船業界が再編の局面を迎えている。国内造船首位の今治造船(愛媛県今治市)と、同2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市西区)は、2021年1月1日付で資本業務提携し、新会社を設立する。商船の営業や設計の統合に向け、当初は20年10月に設立する予定だったが、海外での審査や承認手続きが長引き、3度の延期を余儀なくされた。市場を席巻する韓国と中国勢に対抗する体制がようやく整う。

三井E&Sホールディングス(HD)は、造船子会社が常石造船(広島県福山市)から出資を受ける協議を同社と進めており、21年10月に出資完了を目指す。「常石はフィリピンのセブ島と中国に、競争力を持つヤード(造船所)を設けていて、我々の技術を活用してもらう」(岡良一三井E&SHD社長)のが狙いだ。

三井E&Sは三菱重工業と艦艇事業の譲渡も協議しており、21年10月に譲渡する予定。一連の交渉により国内での新造船事業から事実上撤退する。

サノヤスホールディングスは傘下の造船会社を21年2月末に新来島どっく(東京都千代田区)に売却する。祖業を手放し、工事用エレベーターなどの事業で収益を確保する。

韓中勢の攻勢に加え、新型コロナウイルス感染症の影響で新造船の受注環境が悪化。国土交通省は造船と海運の支援策を検討している。

同省の有識者会議では、事業再編や生産性向上に必要な計画を策定した造船会社に対する金融支援や税制面の軽減措置を俎上(そじょう)に載せている。造船業界から政府系金融機関による支援などの要望が挙がっていたことを考慮した格好だ。

日本造船工業会の斎藤保会長(IHI相談役)は同有識者会議で「(造船所の)集約や構造改革には痛みが伴う」と訴えた。受注環境の回復が当面見通せない状況で、官民一体による立て直しが急がれる。

日刊工業新聞2020年12月11日

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