はるやま提唱の「テレウェア」はテレワークの服装で悩むビジネスパーソンを救うか?
テレワークの浸透により、スーツよりもカジュアルな服装で仕事をするというケースが増えた。しかし、これは働く人々にとっては新たな悩みの種である。何を着ればいいのかわからなくなってしまうのだ。
あまりに気の緩んだ服装では、やる気も出ず、テレビ会議などに出席した際にひんしゅくを買うことになる。かといって、家にいるのにスーツを着るのは堅苦しく、身体に負担をかける。
そこで紳士服を手掛けるはるやまホールディングスは、自社の公式アプリ内のアンケートを通じて、テレワーク時の服装の悩みを抱えた人々の声を集め、テレワークにおける服装の混乱を整理するために「テレウェア」を提唱している。
治山正史社長は「テレウェアを一言で表すと『きちんとしながら、楽ちんなウェア』。具体的には、気持ちを切り替える『スイッチングウェア』、仕事をする上で相手への礼儀を押さえる『マナーウェア』、簡単に洗濯やアイロンができる『イージーケア』そして最後は『リラックス』。この四つの頭文字からとった『スマイリー』というキーワードから考えてもらいたい」と、テレウェアにおける重要な点を挙げた。
10月末に発売された書籍『きちんと楽ちん「テレウェア」』には、白シャツにジャケットを合わせ、ボトムはあえてラフな短パンといったテレワークの「鉄板コーデ」や、スーツのインナーにボトルネックやタートルネックのシャツを選ぶことで緊急の出社にも対応できるコーデなど、治山社長が監修、考案した50の服装が紹介されている。P.S.FA川崎DICE(ダイス)店にも、テレウェア向けの商品が多数並べられている。
テレウェア向けの商品の特徴として、その生地の素材が挙げられる。見た目はしっかりとしたジャケットでも、触れてみるとジャージのような質感で、高いストレッチ性を有している。画面越しでは衣服の素材がわかりにくい点を生かし、長時間座っていることの多いテレワークでの快適性を向上させているのだ。
「自宅で洗える」というタイプの商品も人気を集めている。シワになりにくく汚れに強いシャツや、ウォッシャブルタイプのジャケットとパンツも同様で高い需要がある。新型コロナの勢いが衰えないなか、感染防止のために外出を控えている人たちが、洗濯やアイロンがけなどの衣類のケアを自宅で容易に完結させることができる点に魅力を感じているのが背景だ。
また、テレワークでジャケットは必要なくなったが、それでもワイシャツは着なくてはいけないという客層の、色が入っていたりデザインの主張が強い商品の購入も増加している。取引先と会うことが減った一方、会社内での業務が多くなり、社内に服装に関する厳格なルールもないことから、普段はあまり選ばない色やデザインに『冒険』するケースが増えているのだという。
緊急事態宣言が発令された時期と比較して少しずつ出社する人々は増えている。また、自粛期間で体型が変化してスーツを新調する必要が出たなどの理由から、スーツの需要も戻りつつある。しかし、週のうちのテレワークと出社が半分ずつというケースが多いため、一人当たりが必要とするスーツの着数は減っているのが現状だ。
季節は冬になり、服装選びにも暖かさが重要になってくる。季節に合わせた「テレウェア」を考えるのも、新常態の社会で働くビジネスパーソンの仕事の一つと言えるだろう。