6日3時に帰還の「はやぶさ2」。6年の旅路の果ての「最重要ミッション」を目撃せよ

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カプセルを放出する「はやぶさ2」(イメージ=池下章裕氏提供)

小惑星探査機「はやぶさ2」が6日にも地球に帰還する。小惑星「リュウグウ」で採取したとみられる試料が入ったカプセルを豪州中央南部のウーメラ地区に着地させる。カプセルに収めたリュウグウの試料を分析することで、太陽系や生命の起源の解明につながると期待される。打ち上げからリュウグウでの探査、そして地球帰還までの6年間の旅を終えた「はやぶさ2」の最重要ミッションの成功が期待される。(飯田真美子、冨井哲雄)

「リュウグウ」探査で知見【試料カプセル、豪に投下】

「ミッションは深夜になるが、多くの人に見てもらいたい」。11月30日に開かれた、はやぶさ2の地球帰還についての会見。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の津田雄一はやぶさ2プロジェクトマネージャは、一般市民にこう呼びかけた。

5日14時半に貴重なリュウグウの試料を入れたカプセルがはやぶさ2から投下され、6日3時ごろウーメラに着地する予定だ。すでに地上と宇宙で最終的な運用への準備が行われている。

カプセルを回収するには、地球の決まった場所に正確に着地させる必要がある。そのため、はやぶさ2は進行方向を何度も軌道修正してきた。

【宇宙と地上連携で最重要使命達成へ】

はやぶさ2は11月26日、ウーメラの上空の大気圏に突入できるよう軌道を修正(TCM3)。この時の地球との距離は360万キロメートルで、地上への着地点の誤差をプラスマイナス10キロメートルに収めなければならない。「1キロメートル先のテントウムシを狙う」ような難易度の高いミッションだ。

さらに12月1日には地上で待機するカプセル回収隊の近くに着陸するよう軌道修正した(TCM4)。

一方、地上ではプロジェクトチームのメンバー数十人がウーメラに到着。40度Cを超える炎天下の中、アンテナなどを設営している。

2日14時の時点で、はやぶさ2は地球から約140万キロメートルの距離を飛行している。5日14時30分ごろに高度約22万キロメートルからカプセルを分離。その後、カプセルは6日2時半ごろに高度約120キロメートルにある大気圏に突入する。同11キロ―7キロメートルでパラシュートが開き、2時47―57分に地上に着地する予定だ。その後、地上にあるレーダーと飛行ロボット(ドローン)で着地エリアを探索し、カプセルを素早く特定する。

カプセルを放出したはやぶさ2は、5日15時半以降に同20万キロ―16万キロメートルで、地球圏から離脱するため軌道修正を実施(TCM5)。惑星の重力を利用し軌道を変更する「惑星スイングバイ」やイオンエンジンを利用し、約10年間をかけて新たな小惑星の探査に向かう。

海洋機構の分析に期待

はやぶさ2は2019年2月にリュウグウへの1回目のタッチダウン(着陸)で表面の試料を、同年7月に2回目のタッチダウンで内部の試料採取に成功した。小惑星の表面と内部の試料を分析することで多くの知見が得られると期待される。

JAXAは回収されたカプセルを豪州で分解、試料からのガス採取や簡易解析などを実施する。その後、8日にも国内に輸送される見込みだ。

豪ウーメラでカプセル回収準備(カプセル内の気体を分析するガス採取装置)=JAXA提供

国内では試料の分析を今か今かと待ち構えている。海洋研究開発機構は、回収した試料を微量分析し、リュウグウの詳細な組成を調べようとしている。

海洋機構の生物地球化学センターでは、無機塩類やアミノ酸などの分析を行う。地球の海には塩が含まれるが、もし試料中に塩が見つかれば小惑星に水が存在した可能性が考えられる。

アミノ酸を構成する炭素や窒素など元素の同位体を分析、リュウグウ表面と内部の試料の分析結果を比較し、宇宙での分子の変化を推測する。高知コア研究所では、試料の局所部分を同位体分析し、含まれる元素や割合などを可視化する。リュウグウが形成されてから何年経つかを推測できる。

豪ウーメラでカプセル回収準備(クリーンブースを設営し試運転)=JAXA提供

【NASAと研究連携】

10月には米航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」へのタッチダウンに成功。

JAXAとNASAはリュウグウとベンヌの試料を互いに提供する協定を結んでおり、小惑星に関する研究が大幅に進むだろう。海洋機構の高野淑識グループリーダーは「リュウグウの詳細な分析を行い、ベンヌの試料と比較することで、両者の違いや類似点を調べて今後の惑星探査や分析などにつなげたい」と期待する。詳細な分析は21年6月から約半年間行われる。22年1月以降に成果を論文にまとめて発表する予定だ。

打ち上げから約6年間のはやぶさ2の旅路がクライマックスを迎えようとしている。10年前の初代「はやぶさ」の帰還に続く歴史的場面に立ち会えるか。週末の地球上空の動きに目が離せない。

透過型電子顕微鏡(TEM)を使い分析のリハーサル(海洋機構提供)

日刊工業新聞2020年12月3日

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