伊藤忠「バイオマスプラビジネス」への本気、2030年までに数十万トン供給へ

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環境に配慮した素材のニーズを取り込む

伊藤忠商事は、再生可能資源に由来したバイオマスプラスチックビジネスを本格的に始める。オーストリアの大手樹脂メーカー・ボレアリスと、その関連会社・ブルージュ(シンガポール)からトール油(パルプ生産時の副産物)や廃食油といった再生可能資源由来のバイオマスポリプロピレン(PP)の販売権を取得。販売とあわせて一部成形も行い、食品メーカーなどに提案する。アジア初の取り組みであるとし、伊藤忠では2030年までに数十万トンの供給体制確立を目指す。(浅海宏規)

伊藤忠は年間約341万トンのプラスチックを扱い、世界のディストリビューター中で2位、日本の商社ではトップという。今春には長崎県対馬に漂着した海洋プラゴミを、出資先である米テラサイクルのビジネスモデルを生かしてポリエチレン原料として再生産する取り組みも始めた。

今回のトール油や廃食油をバイオマスPPに再生するビジネスも「環境に配慮した素材ニーズが高まる中、顧客視点であるマーケットインの発想として展開したい」(林英範エネルギー・化学品カンパニー化学品部門長代行)考えだ。

PPは国内プラ全体(約1200万トン)の約5分の1となる250万トン程度が流通している。「“食品競合”がない廃棄物の使用や廃食油など再生可能原料を利用し、かつリサイクル循環の仕組みを壊さない。製造面においても切り替えが容易」(小林拓矢エネルギー・化学品カンパニーリーテイル・資材部化学品部門環境ビジネス統轄)な点を訴求していく。

8月から10月にかけて日用品や食品メーカーなど、20数社とサンプルテストを実施。今後、メーカーからの要望に応じてパッケージや包装フィルムなどに成形する。

19年、政府はプラスチック資源循環戦略を策定。30年までにバイオマスプラを約200万トン導入する目標も設定した。プラの優位性を保ちつつ、環境に配慮している点でバイオマスプラにとっては追い風となりそうだ。

伊藤忠はバイオマスポリエチレン、バイオマスPPで現在、年間数万トンの供給体制を整えている。新素材の展開を通じて社会課題の解決と企業価値の向上につなげる。

日刊工業新聞2020年11月20日

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