バーチャル展示会が長期化、隙間時間の争奪戦が始まる

連載・日常に溶け込む展示会 バーチャルで加速(下)

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オンライン展示会プラットフォーム「CRI DXExpo」

オンラインで開催する「バーチャル展示会」が長期化の様相を見せている。1カ月にわたって週単位でテーマを変え、セミナーやイベントを開いて集客する例もある。来場者は1カ月間届くイベントの案内に応じてどのブースを見て回るか決める。参加方法はパソコンやスマートフォン。従来の展示会とは一線を画す体験になる。カギとなるのはビジネスマンの隙間時間だ。争奪戦が始まろうとしている。(取材・小寺貴之)

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【タイムライン式】

「技術者としてこんなにワクワクする挑戦は久しぶり」とCRI・ミドルウェアの押見正雄社長は目を輝かせる。タイムライン式で展示会に参加するオンライン展示会プラットフォーム「CRI DXExpo」を提供する。写真共有アプリ「インスタグラム」のタイムラインのように、出展社ページをどんどんスクロールして出展社情報を集める。移動中や会議と会議の間など、隙間時間に会員制交流サイト(SNS)感覚で情報収集できるのが利点だ。

押見社長は「タイムラインは個人に体験を伝える仕組みとしてすばらしい。展示会を探索した閲覧履歴から嗜好(しこう)や興味を分析し、それに合わせた情報を配信できる」と自信をみせる。週単位でセミナーやイベントのテーマが変わっても、その変化を楽しみながら新しい視点でオンライン展示会に参加できる。

【2秒で伝える】

出展社にとっては新しい挑戦になる。タイムラインに表示される動画や写真は一度に一つ。ユーザーはどんどん画面をスクロールするため、冒頭2秒でメッセージを伝えることが重要になる。動画の冒頭で来場者の興味をつかんで、残りの数十秒や1分程度のビデオを見てもらうためだ。

例えば、ゆるみ防止ネジを出展する場合、ゆるみ防止のメカニズムを2秒で伝えることは難しい。だが「どれだけゆるまないかは2秒で伝えられる。こうした動画はウェブ広告に展開できる」(押見社長)。コロナ禍でオンラインでのセールス機会が増えて、動画広告に挑戦する事業者が増えており、このトレンドに乗った形だ。

【動画制作支援】

CRI DXExpoは組込みシステム技術協会が主催する「ET&IoTデジタル2020」に採用された。11月から12月にかけて1カ月間のオンライン展示会を開く。中小企業は動画制作に必ずしも明るくないため、CRI・ミドルウェアで動画制作会社を結びつけてコンテンツ制作を支援する。押見社長は「制作支援に踏み込むのは経営チャレンジだ」と説明する。

展示会の成功は運営会社にかかっている。1カ月間イベントを投入し続け、何度も来場者を集める必要がある。幅朝徳部長はアパレル分野での成功例を挙げる。

「スタッフが月170本の動画をインスタにあげ、そこにファンがついて商品が売れている。オンライン展示会も各社のCTO(最高技術責任者)視点のタイムラインを共有するなど見せ方は多彩だ」(幅部長)。

これはオンラインゲームなどの集客に似ている。会場に一堂に人を集める運営からの転換が求められているのかもしれない。

連載・日常に溶け込む展示会 バーチャルで加速
 (上)ただのまとめサイトにするな!バーチャル展示会たちの奮闘(10月17日公開)
 (下)バーチャル展示会が長期化、隙間時間の争奪戦が始まる(10月18日公開)

日刊工業新聞2020年10月15日

COMMENT

小寺貴之
編集局中小企業部
記者

バーチャル展示会を一月をやるなら、半年やってもいいだろう。半年やるなら年中やってもいいだろう。こんな意見が出ています。出展社は年中、展示会に拘束されるのでしょうか。決裁権が社長に集中している中小企業には厳しいかもしれません。リモートの半自動接客は広がっているので、展示会事業者は受付代行や取り次ぎも始めるかもしれません。簡単なQAをシステム化して担当者に投げる。誰が何を探しているか蓄積されていきます。このビッグデータは名刺や人材データよりおいしいと思います。

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