リチウムイオン二次電池を安全かつ高容量に。東レが無孔セパレーター開発
東レは19日、リチウムイオン二次電池(LIB)向け無孔セパレーター(写真)を開発したと発表した。ポリマーの分子鎖間の間隙やリチウムイオンとの親和性を制御し、イオン伝導性と耐熱性が高いポリマーを創出した。このポリマーを無孔層として微多孔セパレーター上に積層することで、金属リチウム負極を用いた電池に活用できると見る。LIB関連メーカーなどに提案し、3―5年後の試作品開発を目指す。
LIBの高容量化、高エネルギー密度化に向け、金属リチウム負極の活用が検討されている。ただ金属リチウム負極は充電時に金属リチウム表面から樹枝状結晶が成長し、セパレーターを突き破って正負極がショートする問題があり、実用化に至っていない。
樹枝状結晶はフィルムの空孔に沿って伸びるが、空孔をなくすとリチウムイオンの透過性が悪化する課題があった。東レは高耐熱アラミドポリマーの分子設計技術を生かしてポリマーを開発。安全性の確保に向け、耐熱性も高めた。同ポリマーで無孔層を設けた金属リチウム負極電池は充放電サイクル100回以上で80%以上の容量維持率を確認した。
日刊工業新聞2020年11月20日