2期連続の赤字予想も、日本製鉄が電磁鋼板の増産に350憶円投資するワケ
日本製鉄は6日、2021年3月期連結(国際会計基準)の業績予想を初めて公表し、売上高は前期比18.9%減の4兆8000億円、当期損益は1700億円の赤字(前期は4315億円の赤字)で2期連続の赤字になりそうだと発表した。
本業の収益力を示す事業損益は8月予想から600億円改善の600億円の赤字(同2844億円の赤字)を見込む。下期は需要回復を見込み、通期の単独粗鋼生産量は3270万トンと8月予想比90トン引き上げたが、前期実績の8割弱。一時休止中の千葉県君津市の高炉、改修中の北海道室蘭市の高炉各1基を近く再稼働する。
上期7割だった全国の高炉稼働率は8割に高める。一時休止が続く茨城県鹿嶋市など計3高炉について、電話会見した宮本勝弘副社長は「足元は在庫水準がタイトな状況。需要動向を見ながら、対応していく」と述べた。
収益改善策として、固定費削減を100億円積み増して計2100億円圧縮し、変動費は500億円超減らす。中長期的の収益強化では、愛知県東海市の厚板ライン休止を21年下期に1年前倒しする。電気自動車(EV)モーター向け電磁鋼板を増産するため、姫路市広畑区の新ラインに350億円追加投資する。
20年4―9月期連結の当期損益は1911億円の赤字(前年同期は387億円の黒字)だった。米中摩擦などの影響を受けた需要減に、コロナ禍が追い打ちを掛けた。
日刊工業新聞2020年11月9日