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シェア83%の「Sansan」、セミナー運営効率化の新システムでさらなる成長へ

シェア83%の「Sansan」、セミナー運営効率化の新システムでさらなる成長へ

セミナー受付の専用端末に名刺をかざすだけで登録できる(イメージ=Sansan提供)

【国内シェア拡大】

Sansanはクラウド型名刺管理サービスで培った技術を基にイベント運営支援事業「イベントテック」を展開する。その一環で法人向けにセミナー運営を効率化するシステム「Sansan Seminar Manager(サンサン・セミナー・マネージャー)」を発売した。作業の自動化による効率的なイベント運営と、データ化技術で導入企業が営業戦略を立てやすくする。同社は海外を含めたイベント運営関連市場の規模を約5000億円と推定し、まずは国内でのシェア拡大を目指す。

同社が手がける名刺情報を企業資産として活用できる法人向け名刺管理サービス「Sansan」の契約数は6700件を突破し、同様のサービスでシェア83%を誇る。個人向けの「Eight」も導入実績を伸ばし、現在のユーザー数は約270万ユーザーとなっている。

こうした実績を生かして始めたのがイベントテック事業だ。法人の多くはイベントで参加者の情報を分析し、事後の営業活動に活用する。しかしデータを表計算ソフトに手入力する膨大な作業量により誤入力もあるなど適正なデータ分析に課題があった。これらの課題が同事業を通じて解決できる。

【自動化で時短】

開発したサンサン・セミナー・マネージャーはセミナーやイベントの参加者データを一括管理できるシステム。参加者の募集からアンケート集計までをサポートする。林祐樹新規事業開発室長は「作業のデータ化・自動化により、複数人で3日程度かかる作業量は(同システムにより)1人15分で完了する」と導入効果を強調する。

参加募集用ウェブページをシステム内で作れる。テンプレートを用意し、誰でも簡単に視認性とデザイン性の高いサイトを制作できる。また、人工知能(AI)を活用して、会社名やメールアドレスの誤入力を低減する機能を持たせた。

同システムはオフラインのセミナーでも利用できる。専用の受け付け端末を開発し、紙の名刺をかざすだけで情報を登録できるようにした。データ化した情報は申込時の情報と即時照合され、自動で受け付けができる。省人化のほか、コロナ禍で高まる非接触ニーズにも応えた。

【月額5万円から】

名刺管理で培ったデータ化技術をセミナー事業に活用。紙の名刺情報をデータ化する精度は99・9%を誇る。橋本宗之取締役最高財務責任者は「収集した正確な参加者データを基に効率的な営業活動に利用してほしい」と語る。システム利用には年間契約が必要。規模やプランにもよるが月額5万円(消費税抜き)から利用できる。

また、同社は一部先行してオンラインイベントでURL化した名刺を交換できる「EventHub(イベントハブ)」と連携。周知に課題があるオンラインイベントだが、告知機能がある「Eight ONLINE」を2021年に提供する予定だ。寺田親弘社長は「ゆくゆくは統合パッケージとして提案したい」としている。(渋谷拓海)

日刊工業新聞2020年11月6日

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