次期戦闘機開発、三菱重工に必須な高度な舵取り能力

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航空自衛隊の「F2」戦闘機

防衛省は航空自衛隊の次期戦闘機の開発主体企業で、三菱重工業と正式契約した。次期戦闘機の開発は現在の「F2」と異なるシングル・プライム方式で、全体設計を担当する三菱重工業が、エンジンを担当する企業やアビオニクスを担当する企業も下請けとして束ねて主導権を握り、重工主体で機体開発する姿勢が鮮明になる。次期戦闘機にはステルス性能に加え、米軍や無人戦闘機との統合運用能力、弾道ミサイルの撃墜など新たな任務が求められる可能性が大きく、重工がこれら要求をどれだけまとめられるかが試される。(取材=編集委員・嶋田歩)

次期戦闘機の配備開始は2035年頃とされ、機数は90機強が見込まれている。その時点での空自戦力は百数十機の「F35」と「F15」の能力向上機、今回の次期戦闘機の3機種で、有事に想定される各事態に応じて部隊全体で的確に対応できるベストミックス(組み合わせ手法)が求められる。

F35は敵に発見されにくいステルス性能を持ち、揚陸艦に搭載するB型は垂直離着陸能力を備える。F15は制空戦闘機として開発されたため空戦性能が高く、双発エンジンでパワーがあるためミサイル搭載能力も大きい。空自では現時点で次期戦闘機にF35同様の高いステルス性と電子戦能力、ミサイル搭載能力、将来の兵器進歩に適応できる改修の自由度と拡張性を求めるとしている。

エンジンはIHIが開発中の機種でめどがついているが、アビオニクスや電子戦は日本企業に技術力はあるものの、米国製を推す声が強い。

外国企業ではF35やF22の製造企業であるロッキード・マーチンやF15製造企業のボーイング、電子システムに強みを持つ英国のBAEシステムズなどが共同開発に名乗りを上げており、年末に決定する見通し。重工は外国企業の技術を生かしつつ主導権は渡さない、高度なかじ取り能力が必要になる。

F15も、その前機種のF4も、1号機納入から退役までに40年近く使われている。裏を返せば次期戦闘機も30年以上使われる可能性が高いということだ。現時点で最良であっても、その後のゲームチェンジャーやミサイル、アビオニクス、無人機、レーダーなどの技術進歩に合わせて、最新型の兵器を搭載、運用できるか。重工にはそれの対応設計能力も求められている。

日刊工業新聞2020年11月3日

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三菱重工 次期戦闘機

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