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全自動で細胞培養する装置開発へ、高品質細胞を安定供給

RMDC(東京都中央区、宮川広之社長、03・6681・8403)、イメージワン、富山大学は、11月に全自動の細胞培養装置の共同開発を始める。高品質な細胞を安全で安定的に培養できるようにするのが狙いで、通信やセキュリティー、制御などに関する高度技術を採用する。2023年度までに国内の臨床現場で実用化を目指す。

3者は9月30日に共同研究契約を締結した。もともとRMDCとイメージワンは、19年5月から再生医療事業関連で業務提携し、全自動培養装置の開発を進めてきた。装置開発には、多様な技術の融合が必要で、医学、工学の両面で再生医療に取り組む富山大学の知見を活用する。

今回開発する装置は、初期培養や増殖といった細胞培養の各作業を自動化する。さらに高度技術を採用するのが特徴。検体情報や自動化プログラムを保護するセキュリティー技術を活用するほか、第5世代通信(5G)や量子暗号技術を応用した通信も実装する。

初年度はまず装置の開発に向け、基礎となる細胞培養技術の共同研究を実施する。培養用試薬を研究するほか、人由来の幹細胞を培養する際にできる培養上清の品質向上を検討する。細胞が分泌するエクソソームの量を増大させる培養条件の開発などにも取り組む。将来的には装置を活用し、移植用組織や臓器の開発にもつなげたいとしている。

細胞培養などを含む再生医療は成長が期待できる分野だ。市場調査会社のシード・プランニング(東京都文京区)の18年3月の調査によると、国内の再生医療周辺産業市場は、30年に15年比の約22・6倍の約6140億円になる予想。iPS細胞(人工多能性幹細胞)由来製品の承認の進展などを背景に、市場が拡大すると見る。

日刊工業新聞2020年10月30日

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