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科研費採択者の平均額、群馬大では女性が男性の1.5倍のワケ

科研費採択者の平均額、群馬大では女性が男性の1.5倍のワケ

(右から)本多悦子群馬大理事、浜口道成JST理事長、坂井南美理研主任研究員、星野歩子東工大准教授

科学技術振興機構(JST)は第2回「輝く女性研究者賞」(ジュン アシダ賞)などの受賞者を決めた。機関は女性研究者増に10年計画で取り組み、数値向上を果たしている群馬大学。個人は天文学と化学の融合で新分野を開拓した理化学研究所の坂井南美主任研究員(40)だ。今回はもう1人、東京工業大学の星野歩子准教授(38)も入賞。米国でのがん転移の細胞外小胞(エクソソーム)解明と、日本の学生受け入れ尽力が評価された。

女性活躍推進を2013年から続ける群馬大は、重点の理工学府で女性限定公募を行い、毎年1人以上の女性採用を実現し、スタートアップ経費も支援。女性教員は4人だったのを7年間で3倍の12人、女性比率で6%にした。博士後期課程の女子学生比率も、進学応援プログラムにより12%から26%に伸ばした。

医学系では上位職への昇任に教育活動の重み付けなど導入。男性教授ら定年者ポストの4分の1に当たる5人の女性採用をした。

また大学独自の助成金を利用した女性研究者で、科学研究費助成事業採択につながる率は、7%だったのが6年間で46%になった。女性が共同研究リーダーになる場合の助成も実施。その結果、18年度科研費採択者1人当たりの直接経費は女性で274万円、男性で180万円と、予想を超える活躍の数値を達成した。

表彰式は11月15日、東京都江東区青海の日本科学未来館で開く。

日刊工業新聞2020年10月22日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
女性研究者支援をする大学は多いが、文部科学省の予算を受けてだと3-5年など予算が切れて後が続かない。群馬大は10年プランを打ち出すことで、学内予算を回す姿勢を明確にして、いくつもの方策を重ねている。全研究者での外部研究費を男女で比較すると、医学部の男性教授陣の強さがおそらく前面に出てくるだろう。しかし科研費採択者でみて(採択に届いていない研究者を除いて)、こんなに女性の活躍が高いというのは、かなり意外な結果ではないだろうか。

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