災害時用想定で発売したプレハブハウス、意図せぬ使い道で売れていた

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TCLの「イージードームハウス」。当初はレジャーや仮設住宅向けを想定

災害時・コロナ感染防止に活用

TCL(名古屋市名東区、木村文夫社長)は、容易に設営できるプレハブハウス「EZDOME HOUSE(イージードームハウス)」を提案する。大人2人で約90分で組み立てられるほか、洗浄しやすい素材を採用。当初はレジャー用や災害時の仮設住宅といった用途を想定していた。だが、新型コロナウイルスの院内感染を防ぐ臨時診察室として使われるなど活用の幅が広がっている。

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【予想外の展開】

イージードームハウスは、約40枚の高密度ポリエチレン製パネルを組み立てて利用する。電動ドライバーを使い簡単に設営できるのが特徴。室内の高さは2350ミリメートル、床面の内径は3000ミリメートルの半球型。パネルを分解した状態で倉庫に保管できる。標準装備としてハッチ型のドア1枚と窓3枚、換気設備がついたパネルが付属する。追加装備として横開きドアや空調設備、システムキッチンなどのオプションも用意。本体価格は79万円(消費税抜き)。

TCLは輸入車ディーラーであるホワイトハウス(名古屋市名東区)の子会社で、ドライブレコーダーなど自動車用品の企画・販売を手がける。同ハウスの開発には「キャンピングカー製作で培った知見を活用した」(谷川伸一広報・マーケティング部長)。レジャーや災害時でも使えるというコンセプトを基に商品化し、2019年11月に発売。キャンプ場での利用に加え、仮設住宅としての提案を行ってきた。

発売後は「予想外の展開だった」(同)。9月中旬までに累計で約250基を販売した。そのうち6割に当たる約150基が医療機関に納入されたからだ。

新型コロナの院内感染を防ぐ臨時診察室として使われている

【臨時診察室に】

医療向けに初めて売れたのは4月ごろ。購入したのは山梨県内の医療機関だった。同社が用途について尋ねると、「新型コロナの院内感染を防止するための臨時診察室として活用する」との返答があった。想定外の活用法に気付いた同社は医療機関向けの提案に注力。さらに患者が車いすやストレッチャーに乗ったまま出入りできるように、開口部が広い両開きドアを用意するなどオプションも拡充した。

谷川部長は「プレハブよりも迅速に設営でき、テントと比べて雨風に耐えられる点が評価されている」と、医療機関が採用した理由を分析する。同ハウスの販売拡大を受けて「次は地方自治体に提案していきたい」(同)と意気込む。

新型コロナの流行が続く中、地震や台風など災害で避難した住民の感染対策が求められている。そこで同ハウスを発熱者の診察や隔離場所として活用することが期待されている。すでに奈良県河合町が8基、岐阜県下呂市は3基を購入。今後も需要が高まるとみて、同社は災害時備蓄品として地方自治体向けに提案を強化していく方針だ。

高い汎用性を持つ製品の特性を生かし、医療機関や自治体向け販売を伸ばすTCL。今後は「月間売り上げを(発売時の)19年11月比4割増まで高めたい」(同)としている。(名古屋・永原尚大)

日刊工業新聞2020年10月19日

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