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シャープが8K普及へ仕掛け、一般消費者も狙う

シャープが8K普及へ仕掛け、一般消費者も狙う

シャープの8Kテレビを中心とする製品群

シャープが「8K+5Gエコシステム(生態系)」と呼ぶ、高精細の8K液晶テレビを中心とする製品群の普及を推進している。15日には、高速・大容量の第5世代通信(5G)や8K動画撮影に対応したスマートフォンで撮影した8K動画を、8Kテレビで見るためのアプリケーション(応用ソフト)の無償提供を始める。8Kテレビの市場投入から約3年、8K製品の「生態系」が一般消費者向けにも広がってきた。(取材=大阪・錦織承平)

15日に提供を始めるのはシャープの8Kテレビに8K動画をダウンロードするアプリ「コンテンツダウンローダー」。3月発売のスマホなどを使って撮影した8K動画や写真を、米グーグルのクラウドサービス「グーグルドライブ」にアップロードすれば、8Kテレビでダウンロードして手軽に見られる。

シャープはこれまで、8Kテレビを中心に、業務用カメラ(カムコーダー)や動画編集用パソコン、内視鏡手術装置用モニターシステムや美術館向けの文化財鑑賞システムなどを製品化。飛行ロボット(ドローン)と組み合わせるセミプロ向け8Kカメラも開発するなど、製品群を普及させるための「生態系」を広げている。

こうした生態系の整備は従来、高精細な8K映像の需要が比較的高い業務用が中心だった。これに対して今回は、携帯通信事業者が高速・大容量の5G通信サービスを開始したのに合わせて、新型のスマホとアプリを連携。8Kコンテンツを一般消費者が自ら撮影し、自宅で楽しめる環境をつくった。

シャープの8K製品群の販売目標は2020年度に3000億円としていたが、実績は公表しておらず、同社関係者は「目標には、まだまだ届かない」としている。従来のテレビやモニターにない高精細画像の用途を探りつつ、一般消費者を含む利用者層の裾野を広げる考えだ。

日刊工業新聞2020年10月7日

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