巣ごもり特需のテレビに追い風の数々、それでも課題あり

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高付加価値製品にとって現在の販売環境は決して悪くない

新型コロナウイルス感染症による“巣ごもり”需要を受け、テレビの販売が堅調に推移している。電子情報技術産業協会(JEITA)が20日に発表した薄型テレビ出荷台数は、感染拡大が本格化した4―6月の出荷台数は前年同期比で約7・2%増の118万5000台、6月単月では前年同月比1・8%増の47万台。政府による新型コロナ対策の10万円の特別定額給付金も追い風で、特に高機能の大型製品が好調だ。(取材・国広伽奈子)

「国内市場の販売数は20―21年で計1000万台程度(18―19年出荷は約938万台)になるのでは」―。パナソニックのコンシューマーマーケティング本部商品センタービジュアル・サウンドカテゴリーの上田健担当部長は今後のテレビ需要をこう見通す。地上デジタル放送移行時の特需の買い替え時期にあたるほか、東京五輪・パラリンピックが延期になり需要が温存された側面もある。

足元では高機能な大型製品が市場を支える。40―49型の出荷量は前年並みかやや上回る水準だが50型以上は前年同月を大幅に上回る月が続く。在宅時間の増加で大画面や高画質、高音質で映像コンテンツを楽しめる高付加価値製品の需要が以前よりも増している。

高画質な有機ELテレビも、高機能化やバリエーションの拡充を背景に2ケタ増が続いている。シャープのTVシステム事業本部国内TV事業部販売推進部の岩崎裕和部長は「さまざまな選択肢を出せることが重要」と、有機ELテレビ参入でさらなる指名拡大を狙う。東芝映像ソリューション(川崎市幸区)の中牟田寿嗣副社長は「直販体制がようやく整い、有機ELも製品群の拡充や新たな販促策の展開が可能になった。画質で真っ向勝負できる」とシェア上位に食らいつく構えだ。

定額制のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの浸透もテレビ需要を支えている。ソニーマーケティングのプロダクツビジネス本部ディスプレイMK課の福田耕平統括課長は「早期から機能やマーケティングでサービス提供企業と連携してきた。今後もシナジーをうまく出せるかが重要だ」と語る。

今後の課題は販売方法の変化。店頭販売が多いテレビも、今後は電子商取引(EC)やデジタルマーケティングの積極的な活用を避けては通れない。

東芝映像ソリューションは自社ECの強化に加えて、ウェブコンテンツの拡充で消費者とのコミュニケーションの強化を図る。パナソニックもウェブコンテンツを分かりやすく工夫していく方針だ。

日刊工業新聞2020年7月21日

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