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需給ギャップが過去最悪の水準に、デフレ逆戻りへの不安

内閣府は、2020年4―6月期の「GDPギャップ(需給ギャップ)」がマイナス10・2%になったとの推計結果を発表した。推計を始めた80年1―3月期以降で最悪の水準。日本経済全体の潜在的な供給力に比べ実際の需要が10・2%、名目の年率換算で約58兆円少なかった計算になる。

同四半期の国内総生産(GDP)の改定値から推計した。GDPの成長率が実質の季節調整値で前期比年率マイナス28・1%と、本来見込まれる潜在成長率の0・7%を大きく下回ったため、需給ギャップも20年1―3月期のマイナス2・4%からマイナス幅が一気に拡大した。

日刊工業新聞2020年10月9日
志田義寧
志田義寧 Shida Yoshiyasu 北陸大学 教授
4-6月期の需給ギャップが大きなマイナスになったことで、デフレに逆戻りしないよう警戒が必要だ。同時期の全国消費者物価指数(除く生鮮食品、コアC P I)は、4月に前年比0.2%下落と3年4ヶ月ぶりにマイナス圏に沈んだ後、5月も同じ0.2%下落、6月が横ばいと弱い動きになっている。需要不足は当面続く可能性が高く、物価は下押し圧力がかかりやすい状況が続くだろう。そうなると気がかりなのが、人々のインフレ期待だ。日銀によると、日本のインフレ期待は、中央銀行の物価目標をベースにした予想(フォワード・ルッキングな期待形成)よりも、現実の物価の動きを踏まえた予想(適合的期待形成)の方が、影響が大きいという。8月のコアC P Iは前年比0.4%下落と3年9ヶ月ぶりの落ち込み幅となった。需給ギャップ、インフレ期待が揃って低下すれば、デフレ・スパイラルが現実味を増してくる。足元では消費を左右する雇用や所得環境も悪化しており、雇用対策ととともに追加の経済対策も早急に打ち出す必要がある。

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