空飛ぶクルマの工程表を21年度中に見直し!23年の実用化目指す
政府は操縦士なしで空を移動できる電動航空機「空飛ぶクルマ」について、実用化に向けたロードマップ(工程表)を2021年度中に見直す。年内にかけて複数の検討会を立ち上げてビジネスモデルや安全基準を議論し、実態に即した規制や事業環境の整備計画を盛り込む。空飛ぶクルマは国内外で開発競争が激しくなっており、実用段階を見据えたロードマップに改訂し早期の産業化につなげる。
空飛ぶクルマは垂直離着陸を行い、時速100キロ―200キロメートル前後で高度150メートル前後の空域を自律飛行する。渋滞が激しい都市部や交通が不便な中山間地域などでの利用を想定している。日本では国土交通省と経済産業省が主導して18年にロードマップを策定し、23年の実用化を目指している。
企業の取り組み状況や欧米の制度整備など実態を踏まえ、政府は「ユースケース検討会」を発足して官民でビジネスモデルに関して議論する。機体開発や運航などビジネスモデルを互いに説明し実現性を高めるほか、制度設計にも活用する。一方、安全面に関しては「機体の安全基準ワーキンググループ(WG)」「操縦者の技能証明WG」「運航安全基準WG」の三つの会議体で話し合う。
これら検討結果を踏まえ、ロードマップに反映する。航空法のヘリコプターと同様に安全基準を徹底し、より現実的な内容に改訂して実用化につなげる。また日本の独自基準にならないよう、欧米が策定する国際基準とも調和させる。
機体の開発に関しては、すでに経産省が蓄電池やモーターなど中核技術の支援事業に取り組んでいる。今後は自動飛行の運航管理技術や静粛性など電動技術の開発を推進する。
海外では米ウーバー・テクノロジーズが23年の実用化を目指すなど開発が進んでおり、日本も官民が連携して環境整備を急ぐ考えだ。
日刊工業新聞2020年10月2日