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auとUQの一体経営開始へ、KDDIのスマホシェア拡大につながるか

KDDIは、子会社のUQコミュニケーションズ(東京都港区)の格安スマートフォン「UQモバイル」事業を10月1日に統合する。自社ブランド「au」とUQモバイルを一体運営し、データ通信をあまり使わないライトユーザーの獲得をテコ入れする。サブブランド「ワイモバイル」との一体運営で契約数を増やしたソフトバンクや、月額2980円(消費税抜き)の料金プランを展開する楽天モバイルに対抗することで、シェア拡大につなげる。(取材=苦瓜朋子)

「auは第5世代通信(5G)で使い放題、UQモバイルはシンプルでお手頃な料金プランを提供する」―。KDDIの高橋誠社長は、auとUQモバイルの役割をこう説明する。

auでは最新機種で上限を気にせず動画などの大容量データを使ってもらい、UQモバイルではデータ通信をあまり使わないライトユーザーに訴求する。傘下のジュピターテレコム(JCOM)、ビッグローブ(東京都品川区)でもケーブルテレビ(CATV)、インターネット接続サービスといった顧客基盤を生かして格安スマホ事業を展開。4ブランドの強みを生かした「マルチブランド」戦略を推進する方針だ。

第1弾として、10月1日に全国のau直営店22店舗でUQモバイルの取り扱いを開始。UQモバイルからauに移行する際の優遇策も同日に始める。携帯電話番号を引き継ぐ際に発生する手数料など最大1万5500円を実質無料とするほか、指定の料金プランへの加入で、契約から1年間、月額利用料を3020円割り引く。ライトユーザーの受け皿としてUQモバイルを運営しつつ、単価の高いauに顧客を誘導する狙いだ。

マルチブランド戦略ではソフトバンクが先行する。大容量ユーザー向けのソフトバンク、低価格な中容量プランが主力のワイモバイル、10―20代の若年層に強い「LINEモバイル」と、3ブランドで方向性を明確化。特にワイモバイルは多くのソフトバンク店舗で2枚看板を掲げて契約数を伸ばしてきた。KDDIも同様の手法を取るとみられる。

一方、NTTドコモは今後もサブブランドを持たない方針。4月に本格参入した楽天モバイルは、参入とともにMVNO(仮想移動体通信事業者)サービスの新規受け付けを停止し、現行のユーザーにも段階的に移行を促す。

ソフトバンクに加え、KDDIもサブブランド一体運営に動くことで、特に大手の傘下にないMVNOの経営環境はより厳しくなることが予想される。携帯料金引き下げを推進する菅義偉氏の首相就任、NTTによるNTTドコモの完全子会社化など携帯業界が風雲急を告げる中、事業統合後のKDDIの動向が注目される。

日刊工業新聞2020年9月30日

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