再出発の準備を始めたオリンパスのカメラ事業、再編の黒子が描く未来予想図

  • 3
  • 0
他の投資先との連携や新規事業も視野(オリンパスが今月発売した新型カメラ)

日本産業パートナーズ(JIP)は、オリンパスから譲渡される映像事業について、今後250億―300億円規模の年間売上高を想定していることが分かった。足元のカメラ市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり大きく縮小しているが、プロ写真家や趣味層の“岩盤市場”は残ると見込む。支持獲得に向けて体制を整えながら、成長に向けた新規事業の模索も進める予定だ。2020年3月期の同事業の売上高は436億円だった。

JIPは9月末までにオリンパスと映像事業の譲渡に関する最終契約を結ぶ予定。黒字化に向けた体制へ構造改革をした上でJIPに譲渡される。21年1月に新会社の始動を目指している。

製造拠点は中期的にベトナムの製造拠点に集約する方向で話を進めている。現在は長野県で高価格帯の交換レンズを製造している。高度な製造技術を要するため、移管完了には時間がかかる見通し。準備が整うまではオリンパスに交換レンズの製造を委託する形で従来の体制を維持する。

JIPは現在の製品群の大枠は大きく変えない方針。レンズ交換式デジタルカメラとしてはセンサーサイズが小さい「マイクロフォーサーズシステム」規格の特徴を生かした製品展開を続ける。特に同規格では交換レンズを小型化しやすく、超望遠でも大きさや重量を抑えることができるのが利点。今後も製品開発を進めることでプロ写真家や趣味層からの需要を獲得し、スマートフォンとの差別化も進める。

人員についてはオリンパスと調整しながら最適な規模にまとめるとしている。映像事業に含まれているICレコーダーや双眼鏡の事業は継続。映像コンテンツ活用が広がる中、カメラ各社は動画撮影の需要獲得を図っている。画質に加えて音質の高さも求められることから、ICレコーダーで培った音声技術が役に立つと見込んでいる。

新会社の成長に向けて技術を生かした新規事業も模索する。外部企業のほか、JIPがカーブアウトを手がけた投資先の中から親和性が高い領域との連携も視野に入れている。

日刊工業新聞2020年9月29日

COMMENT

国広伽奈子
デジタルメディア局
記者

映像事業が直面する課題や投資の規模感などは、同じく日本産業パートナーズがカーブアウトを手がけたVAIOの事例に似ているとのこと。VAIOは法人向けを中心にPC事業を立て直し、EMS(電子機器製造受託サービス)や飛行ロボット(ドローン)などBtoB領域に事業を広げました。成長のためには、コンシューマー製品で培った技術を別の領域へ応用することが必至である点も、かつてのVAIOと現在のオリンパスの映像事業の共通点です。画像や映像を活用したソリューションの需要は各所で引き合いが強い状況。デジカメ市場での生き残り策と併せて、JIPが今後どのような成長戦略を打ち出すか引き続き楽しみです。

キーワード

関連する記事はこちら

特集