中国新車販売、トヨタとホンダが単月過去最高のワケ
日系自動車メーカー6社合計の8月の中国新車販売台数は、前年同月比12%増の約46万台と、4カ月連続で増加した。トヨタ自動車とホンダは8月単月として過去最高を更新した。中国市場全体では同12%増の約219万台と、5カ月連続でプラスとなった。地方政府の需要刺激策などもあり、コロナ禍による落ち込みからの回復基調を維持したようだ。(取材=西沢亮)
メーカー別ではトヨタが同27・2%増、ホンダが同19・7%増と2社が増加。4カ月連続で2ケタ増となったトヨタは「地方モーターショーが開かれた地域を中心に伸びている」(同社広報担当者)としている。
一方、日産自動車は同2・4%減、マツダは同2・3%減、三菱自動車は同48・3%減、SUBARU(スバル)は同8・8%減と4社が減少した。日産は8月は例年需要が落ち込む時期であり、中国事業は「引き続き堅実な実績を達成しており、市場全体の成長率を上回っている」(現地法人幹部の山崎庄平日産専務執行役員)との見方を示す。
中国市場全体では中国汽車工業協会によると、8月の販売は同11・6%増の218万6000台だった。うち乗用車は同6・0%増の175万5000台、商用車は同41・6%増の43万1000台と全体を押し上げた。
調査会社のマークラインズでは、乗用車は政府の支援策などで消費意欲が高まり、トラックがけん引する商用車は政策や投資の影響で好調を維持していると見る。電気自動車(EV)などの新エネルギー車の販売は同25・8%増の10万9000台と、8月単月として過去最高を記録。普及キャンペーンや地方政府の消費支援により、販売は安定的に拡大しているとしている。
SMBC日興証券の木下寿英シニアアナリストは15日付のリポートで、2020年の世界の自動車需要予想を従来の前年比20・9%減から同17・1%減に上方修正した。その要因の一つとして中国市場の動向を織り込んだ。同市場について「政府の積極的な関与もあり最も回復が早い。年末にかけてもグローバル主要市場の中ではベストパフォーマーであり続ける」との考えを示した。