名古屋のスマートタウン、災害の備えを強化!都市型モデル普及の第一歩となるか

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みなとアクルスのエネルギーセンターにある中央監視室

災害時も電力・熱供給

東邦ガスは2018年に開設した名古屋市港区のスマートタウン「みなとアクルス」のマンションで、家庭用燃料電池「エネファーム」を各戸に配備するなど災害時のレジリエンス強化を進めている。商業施設やマンションなどで構成し、地域全体のエネルギー管理システム(CEMS)を中部圏の都市再開発で初めて採用した。エネルギーの一括管理で環境負荷の低減や、災害時のエネルギー供給体制確保を図る。防災啓発イベントなどソフト面も強化している。

【防災体制を強化】

みなとアクルスでは地震や津波、液状化を想定し、建物の耐震強度の確保や用地のかさ上げ、エネルギー供給・管理設備の2階以上への設置などの対策を講じた。東邦ガスは「ガス管などの配管ルートは地盤沈下でも破断しないように工夫した」(伊藤元希用地開発推進部港明開発グループ係長)と説明する。

ガスコージェネレーション(熱電併給)や太陽光発電、ナトリウム硫黄(NAS)電池を備え、災害時もエリア内の施設に電力や熱を供給。耐震性の高いガス管や断水時に運河の水、井戸水を冷却水として利用し、災害時もプラント運転を継続できる。災害発生時はCEMSのモードが切り替わりエリア内のエネルギー供給計画を立案する。

近接する港区役所と協定を結び、災害や停電時に専用自営線で非常用電力を供給し、防災活動拠点用スペースを貸し出す。年1回電気ケーブル接続訓練を行い、非常時の体制を確認している。

屋上や立体駐車場などに約9000人分の津波避難スペースを確保。名古屋市から津波避難ビルの認定を受けた。非常食や飲料水、衛生品などの災害用備品も備蓄する。

ソフト面では災害時に同タウンの災害対策本部を設け、被害情報の共有や復旧活動を推進する計画。デジタルサイネージで災害情報を発信するほか、大雨浸水時には道路閉鎖など想定している。

【啓発イベント】

また、同タウンの事業者などで構成する「みなとアクルスまちづくり推進協議会」では啓発イベントや訓練の取り組みを進めている。イベントでは非常食調理体験やバケツリレー、防災車両の仕組みについての学習を行った。商業施設などで働く従業員向けに防災啓発講習を19年度に毎月開き、自動体外式除細動器(AED)講習や煙・揺れの体験などを行った。今後は「警察や消防による講習を考えている」(伊藤係長)という。

従業員向け防災啓発講習で行われたAED講習

さらにエリア内専用通信インフラを用いた情報伝達訓練を隔月で開く。年1回開く防災訓練では地震や大雨などの災害を想定し、災害対策本部設置から各施設との連絡、復旧までの流れを確認する。同タウンは今後も職業体験施設の開設など開発が続く見込みで「被害想定の変更などで訓練のパターンを増やし、防災の高度化を図る」(同)と強調する。

開発の進展に合わせてエネルギーセンターの新増設などエネルギーの供給、管理体制を強化する方針。災害対応性と低炭素性を両立した都市型モデルとして普及を目指す。(名古屋・市川哲寛)

日刊工業新聞2020年9月21日

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