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3800人を1人で管理、新卒採用にRPAの効果

3800人を1人で管理、新卒採用にRPAの効果

リモートでもRPAで効率的に業務ができると加古さん(ユナイテッド提供)

ユナイテッドは新卒採用にRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を導入した。夏期インターンシップでは3800人の応募者の進捗(しんちょく)管理を、ほぼ1人で担当できるようになった。1カ月当たり36時間分の工程削減につながった。こうした自動化を在宅勤務のリモート環境で実現。コロナ禍であっても業務の見直しと効率化を続けている。

「RPAは便利。使っていいことしかない」と、タレント&ストラテジー本部人材開発部の林由里恵マネージャーは目を細める。同社の夏期インターンシップは学生が七つの方法で応募する。学生向けメディアや応募時期によって書類審査や面接、グループワークのいずれかが免除されるなど応募方法により学生ごとにインターンシップの進捗が変わる。これまで手作業で学生のデータをまとめて管理していた。この作業を自動化した。

担当の加古晴香さんは「忙しい時期は管理作業だけで1日が終わっていた。自動化されて他の仕事ができるようになった」と振り返る。リアルタイムに情報が共有され、ミスもなくなる。学生の選考離脱率は33・1%から15・5%に半減した。

こうした自動化を在宅のリモート環境で進めた。RPAのサポート担当者にはビデオ会議でフォローしてもらう。以前は日時を決めて出向いてもらっていた。加古さんは「リモートは効率がいい。困ったところを尋ねると、その日のうちにミーティング時間を設定し、その場で問題が解消される」と説明する。

コロナ禍で在宅勤務が広がり、仕事の進捗状況を共有しづらくなった。手作業でも5分で済むが、その小さな作業をしないと周囲に情報が伝わらない。ただ、5分間の作業のために自分の仕事を止めたくない。このような作業の自動化にRPAは向く。林マネージャーは「次は面接のスケジューリングを自動化したい。RPAで1人分の時間を生み出す」と力を込める。(取材=小寺貴之)

日刊工業新聞2020年9月2日
小寺貴之
小寺貴之 Kodera Takayuki 編集局科学技術部 記者
コロナ禍で、職場で起きていた情報共有が寸断されました。進捗共有のための小さなタスクが発生しています。こういう進捗共有タスクは、やれば5分なのでRPAなどの自動化対象にならないけど、その5分の作業をやらないと周囲に進捗が伝わらない。非同期で共同作業しにくい。でも、わざわざ自分の進捗を伝えるために、いまの仕事を止めたくない。こんな小さなタスクの掘り起こしと自動化が大事になると思います。この事例ではITベンチャーの非IT部門の人事部で新入社員と二人でRPA導入を進めました。コロナ禍でも、やればできるんだなと思いました。

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