「ICT建機は中国企業がまだ追いつけない」...コマツ社長の自信の背景

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ICT・無人化進める

新型コロナウイルス感染症の影響で、欧米やアジアを中心に需要が落ち込む建設機械業界。ただ、各国の工場生産はほぼ平常に戻り、景気対策関連工事の下支えも期待できるなど明るい材料もある。コマツの小川啓之社長に先行きの見通しを聞いた。

―業績は20年4―6月期が底ですか。
「建機の20年度の売り上げはおおむね15%減になるとみている。国内は堅調。北米は悪いが、18年までがバブルだった面もある。欧州は回復に向かいつつある。中国は好調だが、現地大手が75%のシェアを握り、残りを外資で分け合っている状況。鉱山機械は建機よりプレーヤーの数が少なく、優位性が高い。金価格上昇などの明るい材料もある」

―景気の先行きが見えない中、ユーザーが新車の購入を敬遠し、回復がさらに遅れる懸念はないですか。

「建機のライフサイクルコストで新車代の比率は2―3割しかなく、残りは燃料代や修理コストだ。当社はここのソリューションで勝負する。新車の値引き合戦で体力をすり減らすのではなく、ライフサイクルのコストを訴え、その価値を認めてくれる顧客に販売する。ユーザーは新規の投資にまだ慎重だが、機械の稼働率は平常ベースに戻っている。新車需要はこの先なだらかなL字型回復と予想するが、部品やサービスはそれより早く回復を描くとみている」

―中国企業が政府の後押しを得てアジアで安値攻勢をかけているとの指摘もあります。
「インドやインドネシアでは保証期間を従来の1年から5年に延ばした。保証期間内は顧客が純正部品を購入してくれるため、車体の傷みが少なく、中古車も高く売れる。当社はコンポーネントを自社で開発・生産している。中国企業は基本的に組み立てるだけで、主要部品は日本製だ。ライフサイクルの重要性を訴え、そこで勝負する。代理店の構築は20―30年かけて関係をつくってきた。この強みはそう簡単に追いつけるものではない」

―情報通信技術(ICT)対応の建機に注力しています。
「ICT建機は中国企業がまだ追いつけない分野。先進国市場も今後はICT建機が主流になるだろう。建機市場でICT建機の比率は2%前後で、さらに高める必要がある。米国ではブルドーザーの3割以上がICT建機。鉱山機械も大手ユーザーでは無人ダンプが標準装備になっている。今後は周辺工程も無人化を進める」

―電動化の取り組みも進めています。
「フル電動のミニパワーショベルを3月に発売した。中型機や大型機も電動化の研究を進めている。バッテリーのコストや重量をいかに下げ、出力を上げていけるかがカギ。二酸化炭素(CO2)排出削減対策として、電動化ニーズはますます強まる。マーケットリーダーとして、当社が製品を開発していかなければいけない」

【記者の目/業界リーダー、強い自覚】

電動化やICT建機の全体に占める比率はまだ低いが、小川社長の言動には「業界のリーダーとして全体を啓発せねば」との強い意志が感じられる。政府の後押しを受けた中国建機のダンピング攻勢に対抗するためにもICT化は急務だ。後はユーザーに導入メリットをいかに説いていくかだろう。(編集委員・嶋田歩)


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日刊工業新聞2020年8月27日

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