高島屋のオーダースーツ、AIで若い世代の開拓なるか

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顧客は約40種類のワードから合計三つを選択。AIが希望に合った5種類の生地を提案する

希望に合う生地

高島屋は2019年9月、紳士服売り場に人工知能(AI)を活用した接客ツール「感性AIソムリエ」を導入した。オーダースーツの顧客に対し、データに基づいて希望に合った生地を選び出す。購買年齢が下がるほど店員による提案よりAIが出した結果を好む傾向にあり、これまでオーダースーツの客層になかった20代や30代といった若い世代の開拓につながっている。

店頭ではモバイル端末を使い、顧客が「好印象に見える」など約40種類のワードからイメージに合うものを選ぶ。顧客は「スマートに見える」など合計三つまでワードを選択できる。AIが選んだワードに合った生地5種類を提案する。生地を選べばスーツの形で表示され、出来上がりをチェックできる。

選んだ生地は店頭にあり見て、触って確認できる。続いて顧客は選んだ生地の評価を行う。質問は「格好よく見える」「(生地は)さらさらした感じ」など10項目あり、それぞれ「そう感じる」「どちらでもない」など七つから選ぶ。この回答が蓄積データとなる。

顧客満足度向上

これまでオーダースーツはベテラン社員が接客し、400種類以上の生地見本の中から勘と経験値で選んできた。今でも50代以上の顧客は対面接客によるオーダー利用が多い。ただ、30代以下の顧客からは「『何か調べるツールはないですか?』と聞かれることも増え、感性AIソムリエを導入した」(久曽神〈きゅうそじん〉健MD本部次長バイヤー)。人による接客を省く目的ではなく「顧客満足度を高めるツール」(同)なのだ。

気に入った生地を選べばスーツの形で表示され、出来上がりをチェックできる

現在、東京都中央区の日本橋本店など5店舗に同ツールを設置。累計で1400件の利用があり、来店客の4人に1人が使っている。顧客からは「『客観的に勧めてくれる』という声が多い。客観的なデータを使うため、お客さまの納得感も高い」(同)という。AIが選ぶのはグレーや紺色の無難な色合いの生地だと思われがちだが、キーワードに「鮮やかな」を選択すればワインレッドなどの色の生地を提案してくる。妥協点で選んでいないことが分かる。

カスタマイズ

「ここ5年はオーダースーツブームだ。スーツ全体の市場が縮む中、オーダーだけは微増している」(同)という。ブランド志向がなく、カスタマイズを楽しみたい若い世代が低価格帯のオーダースーツを注文するようになった。高島屋でも4万9000円(消費税抜き)から購入できる。新入社員や成人式を迎えた人たちも注文されるようになった。

同ツールの導入で立地によって異なる店舗ごとの来店客特性も明確になり、「年2回の生地の入れ替え時にも役立っている」(同)としている。一方で、課題は半年ごとに新たに出てくる生地の基本情報の入力作業。わずかでも素材が変われば、工場で人手による入力が必要になる点だ。今後は、新型コロナウイルスの影響で来店することが難しい顧客向けに、自宅で同ツールを活用できないかどうか検討していく。(編集委員・丸山美和)

キーワード
オーダースーツ AI

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