なぜ通貨供給量が過去最高になっても、「経済学」の教科書通りに日本の物価は上がらないのか
日銀が12日発表した7月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、現金・預金などの合計を示す代表的指標のM3の平均残高は前年同月比6・5%増の1452兆7000億円だった。伸び率は現在の統計で比較可能な2004年4月以降、残高も現統計でさかのぼれる03年4月以降の過去最高を更新。新型コロナウイルス感染拡大への対応で、企業が手元資金の確保へ借り入れを増やした結果、預金通貨が伸びたのが主因だ。
M3のうち、現金通貨は5・6%増の107兆8000億円、預金通貨は14・1%増の793兆6000億円と、いずれも残高が過去最高水準となった。預金通貨の増加には、特別定額給付金の給付を受けた個人の預金積み増しも寄与した。
広義流動性は4・8%増の1900兆円。このうち金銭の信託は1・5%減と、3カ月連続の減少。国債は1・5%増と、3カ月連続増加した。
M3からゆうちょ銀行や信用組合などを除いたM2は7・9%増の1111兆1000億円だった。
日刊工業新聞2020年8月13日