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中小企業が実践する、アフターコロナの働き方

中小企業が実践する、アフターコロナの働き方

ウェブ会議は中小企業でも当たり前になる

大成ホールディングス(HD、東京都葛飾区、徳倉俊一社長、03・3691・5484)は、アフターコロナ社会の働き方の変化に対応できる社内体制の構築に乗り出した。3拠点間を含めた社内会議や外部との打ち合わせを全面的にウェブに切り替えた。さらに2事業会社で子育てする社員を支援する制度を導入するなど、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に社員の家族も考慮した働きやすい環境を整える。(取材=千葉編集委員・中沖泰雄)

政府の緊急事態宣言が全面的に解除された後も、稲生豊人専務は「半年から1年間は(人の直接的な接触を避ける)現在の状況が続く。その中で中小企業でもウェブ会議は当たり前のものとなり、働き方が大きく変わる」と見ている。

このような変化に対応可能にするとともに、感染を防止するためウェブ会議システムを導入した。事業会社である大成ファインケミカル(千葉県旭市)と、同社の営業・研究部門がある東京都葛飾区の拠点、大成化工(同成田市)で運用を開始した。

少なくとも緊急事態宣言が解除されるまでは続け、まずウェブ会議に慣れるようにする。稲生専務は「現場を実際に見学したり、商品を手に触ったりできない」などデメリットを指摘した上で「遠方に移動する際の交通費や時間を削減できる」とメリットを強調した。ウェブ会議がより有効となるノウハウを蓄積していく。

一方、子育てする社員を支援するため、大成ファインケミカルと大成化工で特別有給休暇制度を導入した。153人の社員のうち、小学3年生以下の子どもがいて、共働きなどで家庭に子育てができる人がいない社員25人に緊急事態宣言が継続している期間、1カ月当たり8日間の有給休暇を支給するもの。

今後、新型コロナの感染を防止するために導入した時差出勤やテレワーク、自動車通勤の奨励、パンデミック(世界的大流行)に対応した事業継続計画(BCP)などの効果も検証し、アフターコロナ社会に対応できる体制づくりを進めていく。

日刊工業新聞2020年5月25日

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