世界の輸出額、1―3月期は5.8%減。コロナの影響はまだまだこれから!?
日本貿易振興機構(ジェトロ)は30日、2020年版の「世界貿易投資報告」を発表した。それによると、2020年1―3月期の世界の輸出額は前年同期比5・8%減となり、新型コロナウイルスの影響の大きさを示した。主要32カ国・地域の商品別貿易(輸出ベース)で見ると、輸送機器は前年同期比10・7%減、一般機械が同9・1%減となった。一方で、医薬品および医療用品の輸出は同13・9%増となった。
新型コロナによる貿易関連措置の導入も相次いだ。世界的に感染が拡大してきた3月以降、衛生用品の輸出制限などの動きが活発化し、貿易制限措置は5月時点で累計82件となった。一方、医療・衛生物資へのアクセス拡大を目的とした関税の撤廃や輸入手続きの簡素化などの緩和措置も行われ、5月時点で累計97件と貿易制限措置を上回った。
また、外国投資の事前審査制度(投資スクリーニング制度)の厳格化の動きが目立ってきた。新型コロナにより3月以降、ワクチンの研究開発や高度医療機器の製造など医療分野の監視強化、企業価値が低下した自国企業の買収を阻止する目的で各国は同制度の運用を強化している。
海外に進出した日本企業は、6割程度が事業戦略やビジネスモデルを見直している。一方で、新型コロナは生活基盤や企業活動のデジタル化を促進させ、日本企業の新たなビジネス様式への対応が必要となっている。
19年の世界貿易は18年比2・9%減の18兆5047億ドルで、貿易数量も同0・1%減となった。金額・数量とも伸び率がマイナスとなったのは09年以来10年ぶり。