「石炭火力発電所の休廃止は地域の実情を考えて!」 電事連会長が語る脱炭素

池辺会長(九州電力社長)インタビュー

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池辺和弘氏

最終処分の減容化に道

電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は日刊工業新聞などのインタビューに応じ、2030年までに低効率の石炭火力発電所を休廃止する政府の方針について「地域それぞれの電力会社と十分に議論しながらルールを決めてもらいたい」と時期や低効率の定義などについて地域の実情を踏まえる必要性を示した。業界の課題や展望などを聞いた。

―低効率の石炭火力の休廃止に向けて議論が始まりました。
「もともと第5次エネルギー基本計画に明記されていた。方向性はまったく問題なく、実際に動きだしたと受け止めている。ただ、安定供給に影響があってはいけない。例えば沖縄電力は系統規模が小さいので安価な電力を供給するには石炭火力しかない。2030年で区切られても安定供給上、問題のある地域もある。低効率の定義も難しく、バイオマスや水素を混焼するなどいろいろなやり方がある」

―石炭火力を代替する上で重みが増す原子力発電は再稼働が現状9基にとどまります。
「審査が進んでいないのは残念だ。すでに審査を通った経験のある会社はハード面の対策などノウハウがあると思うので、横展開するなどの支援は必要だ。原子力規制委員会もこの10年間経験が積み上がってきた。効率的な審査をお願いしたい。再稼働の重要性は日々増している」

―日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の審査の許可が出ました。
「大きな節目であり、大変意義深い。原子燃料サイクルは資源の有効活用になるし、有害度の低減、最終処分の減容化にもつながる。再処理工場がなく、最終処理ができていないというのが、大きな輪の中の欠けた部分だった。サイクル全体にとって再処理の許可は非常に価値が大きい」

―原発の安全性について世論の不安は払拭(ふっしょく)されていません。
「大丈夫かという声があるのは十分承知しているし、不安をもたれるのは当然だ。最低限いえるのは、福島第一原発のような津波が来ても安全なように新規制基準はつくられている。安全神話に戻るつもりはないので、完全に安全だとは言わないが、安全は日々向上していると皆さんに知ってもらいたい」

―NTTが大規模な再生可能エネルギー投資に乗り出すなど異業種参入で競争も激化しています。
「地球温暖化のためには電化の推進が大事だ。NTTが電気の世界に入ってきて、再エネ投資もかなりの規模ですると言っている。競争が激しくなるから入るなとは決して言わない。電化がもっと進むのであれば、地球温暖化防止のために非常に望ましい」

―ニューノーマル(新常態)は電力業界にどう影響しますか。
「プラスに捉えている。デジタルトランスフォーメーションやテレワークなどはこの先絶対進んでくると思っていたし、電化が進むと思っていた。その時間が早送りされた。電化が進み、電力需要は長期的に増えていくという思いを強くした」

【記者の目/石炭縮小と再エネの両輪で】

脱炭素の世界的な潮流を受け、電力会社は石炭火力の縮小と再エネ拡大に大きくかじを切ろうとしている。安定供給の使命は堅持しつつ、ここ10年で電源構成を大幅に組み替える経営を迫られる。原発再稼働という先行きの見通しにくいファクターもあり、各社が固有に最適な解を見いだすしかなさそうだ。(編集委員・川口哲郎)

日刊工業新聞2020年7月31日

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