柔軟な働き方は優秀な人材確保に繋がる?フィンランドに学ぶ働き方

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国連の持続可能な開発目標(SDGs)は「目標8」で人間らしい適度な働き方の実現を推奨する。日本は新型コロナウイルス禍で在宅勤務など柔軟な働き方が普及してきたが、SDGs先進国の北欧諸国と比べるとまだ差は開いている。年初に発刊した「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」が4万5000部・10刷のヒットを遂げているフィンランド大使館広報部の堀内都喜子プロジェクトコーディネーターに、フィンランドの視点から日本へのアドバイスを聞いた。

―フィンランドは柔軟な働き方が浸透している印象ですが、状況はいかがですか。

「コロナ前から週に1度以上、在宅勤務をする人は3割いた。コロナ流行後は、6割の人が在宅勤務に移行したとの統計がある。肌感覚では、在宅が可能な職種の人はほぼすべて在宅勤務に移行している」

―元々、柔軟な働き方の文化があったのでしょうか。

「フィンランドも最初から今のような働き方ができたわけではない。1970年代に女性の社会進出が進み、保育園の整備を含む子育てと仕事の両立を促す環境が徐々に整えられ、90年代に在宅勤務など就労時間や場所の柔軟性を認める法律が整備された。そして00年代以降に、法律に基づく柔軟な働き方が普及していった」

堀内都喜子プロジェクトコーディネーター

―著書のタイトルにあるように、短時間で仕事を終えられるのはなぜですか。

「4時に帰る前提で1日のスケジュールを立てるからだろう。例えば3時に会議を入れると、長引いて4時に帰れない恐れがあるため、会議はできるだけ午前中など早い時間帯に入れる。お尻(終業時間)を意識することは、生産性を上げる一つのカギになる」

「残業が簡単にできない就労規則もあるだろう。残業をする際は前もって上司の許可が必要な場合が多い。上司の方は残業を損失(コスト)と捉えており、簡単に認めない」

―フィンランドの視点から日本に助言は。

「日本は社員が企業の制度に合わせているが、フィンランドは企業が社員の生活スタイルに合わせている。日本より転職が盛んなため、魅力的な労働環境を整えないと社員に転職されるリスクがあることが背景にある。単純比較はできないが、少子化の中、優秀な労働者を確保するには日本も柔軟な働き方が不可欠ではないか」

「フィンランドは資源に乏しく、人材が最大の資源という考え方をする。これまでは欧州一働きやすい国を目指していたが、今の内閣は世界一を目指し、世界中から優秀な人材を惹きつける方針だ。同じく資源に乏しい日本にとって参考に値する国と言えるのではないだろうか」

記者の目/「残業ゼロ」から取り組みを

コロナ禍を受け日本で“強制的”に在宅勤務に移行した人の中には「在宅でも意外にやれる」と思った人も多いのでは。文化が異なるフィンランドの手法をそのまま日本に当てはめるのは難しいとする向きもあるが、残業ゼロなどまずは可能性を模索することから始める意義はありそうだ。(大城麻木乃)

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