「沖縄移住」を目玉に起死回生狙うも、対面営業できず不動産業者が“コロナダメ押し倒産“
不動産販売業者のBuddyは、6月10日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は2007年5月に設立。設立当初は別商号で一般住居の販売を手がけていた。13年12月に現代表の堀内幹根氏が同社を買収。商号変更後、収益用不動産の販売に事業を転換した。15年4月期の年売上高は約4億円だったが、代表の前職での経験を生かした事業展開が功を奏し、17年4月期から3期連続で年売上高30億円を超えるなど業績は堅調に推移していた。
売り上げが伸びる一方、期限までに金融機関からの融資が実行されないことで違約金の支払いが発生。販売管理費が重荷だったことも加わり、営業利益は18年4月期が約2700万円、19年4月期は約6000万円と、売上高に対して低位なのが課題となっていた。
こうした中、18年に収益用不動産関連で金融機関における不正融資問題が発生した。その後、同業界において金融機関からの融資がおりにくくなったため、同社は19年より沖縄への移住を前提とした住宅販売を開始し、新たな柱としていた。
20年に入ると同社に対し、顧客から瑕疵(かし)担保に基づき金融機関に対する預金債権などに対し仮差し押さえの決定がなされるなど周辺環境が悪化。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い対面での営業が難しくなったことから、今後の事業展開において業績の向上が想定できないと自己破産申請を決断。6月3日の申請に至った。
現代表による買収後、未経験者を育成することで同業他社にはない独自性で実績を重ねてきた。しかし、18年に収益用不動産への融資が社会問題化したことで事業環境が悪化し、主力事業の転換を余儀なくされていた。その後、顧客とのトラブルなどの問題を抱えながら業容の維持・拡大に努める中、新型コロナ感染症の拡大に伴い、販売のカギでもある対面営業ができなくなったことが最終的に破たんの要因となった。
(文=帝国データバンク情報部)