携帯番号移行、過度な引き留めに厳しい目。手数料やポイント付与はどうなる?

総務省が見直し本格化、企業努力が報われないという意見も

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改正が行われる場合の時期は21年以降とみられる

携帯通信会社を変更する際に従来の電話番号をそのまま使える同番号移行制度(MNP)の見直しに向けた検討を総務省が本格化させている。21日の有識者会議で、2004年に制定したMNPのガイドラインを改正する方針を示した。具体的な論点はMNP手数料のあり方や、転出希望者に対する引き留めの是非など多岐にわたる。通信会社からの反発も予想される中、健全な市場競争の促進につなげられるか注目が集まる。

MNPが導入された06年当初の利用者負担料金は2000円だったが、現在は3000円。携帯通信大手3社のMNP手数料収入は推計で年間159億円に上る―。総務省は21日、通信市場の競争環境などを議論する有識者会議「競争ルールの検証に関するワーキンググループ(WG)」の場で、MNPをめぐる現状を列挙した。

消費者が他の通信会社へ転出する際に必要となるMNP予約番号の発行受付時間も、やり玉に挙げた。大手通信各社はウェブで受け付けをしているが、基幹システムの運用の都合などから、受け付け時間帯は9―20時が主流。WG資料には今後の検討の方向性として、終日対応を原則とする旨が明記された。

MNPでの転出を希望する人に対し、携帯通信会社がポイントを付与するなどして引き留めを図ることも問題視している。過度な引き留めは公正競争を阻害しかねないとの判断からだ。WG構成員を務める野村総合研究所の北俊一パートナーは「経済的な利益の提供について説明する時間を頂けるか利用者から許可を得て、許諾しない利用者には速やかに番号を発行して終了する。このプロセスをまず徹底することが重要」と提言する。

ただ、一連の論点の中でMNP手数料については「高いほど顧客が流出しにくくなるので、積極的に下げる動機付けが働きにくい」(総務省の担当者)という構造問題が横たわる。MNP手数料を率先して下げる事業者が出た場合、その会社からの顧客流出が増え、企業努力が報われないことも懸念される。総務省は海外では多くの国がMNPについて利用者負担料金を求めていないとも指摘しており、日本でもそうなる可能性が考えられる。

総務省はWGの成果を9―10月ごろに報告書としてまとめ、その後、MNPガイドライン改正の手続きを始めたい考え。改正が行われる場合の時期は21年以降とみられる。携帯通信各社は販売や顧客サポートのあり方も含めて頭を悩ませることになりそうだ。

(斎藤弘和)

日刊工業新聞2020年7月22日

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