コロナだけじゃない!スズキの生産挽回に立ちはだかる「検査不正」の爪痕

バックオーダーを大量に抱える

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鈴木俊宏社長(左)と鈴木修会長

スズキが国内生産の挽回に向けアクセルを踏み出した。2019年4月に国土交通省へ提示した完成検査の不正の再発防止策について、検査員の増員など、残っていた19項目を含めた120項目がすべて完了したことを6月に報告した。新型コロナウイルス感染拡大の影響もありバックオーダー(入荷待ちの注文)を多く抱え、今後生産ペースを高めていく中、再びの不正は許されない。信頼回復へ、これからが真の正念場となる。

「完成検査の不正問題の対策を行ってきた。正常の生産能力を保てると考えている」。20年3月期の決算会見で鈴木俊宏社長は、こう語った。対策の実施前は確実に完成検査できる台数に合わせて組み立てラインのスピードを落とした。このため検査員の増員やトレーニングなどを行い、検査ラインの能力が組み立てラインの能力を5%以上上回る体制を整えた。現在は組み立てラインのスピードを戻している。

全体の検査員は4月に20年1月末比約6・5%増の344人に増員。21年3月には460人にする計画だ。検査設備に関しても、ネットワークでつないで試験結果を一元管理するほか、問題が起きた際に自動アラームの自動作成などを行うシステムや、試験した検査員を自動で記録するシステムを導入した。

ただ、新型コロナの影響で部品の納入が滞り、バックオーダーを大量に抱えている。「部品の物流を注意深く見て、その中で生産ができるよう整える」(鈴木社長)。5月も海外調達部品の一部で納入が滞ったため、国内工場の操業停止などがあり、国内での生産実績は前年同月比52・3%減の3万5219台だった。だが、同64・9%減の2万8417台だった4月と比べ減少幅を縮小し、回復基調にある。

新型コロナの影響で業績予想や中期経営計画などは見送っている。その中でも「日本において軽自動車ではシェア30%を確保してきたい」と意気込む鈴木社長。信頼回復は前提だ。検査不正の再発防止対策にめどをつけたが、これで終わりではない。経営陣と現場が一丸となって風土を改革できるかが問われる。

(取材=浜松・岩崎左恵)

日刊工業新聞2020年7月9日

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