インターン生の受け入れがアフリカとの懸け橋になった中小企業

アフリカの産業人材育成

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アフリカから研修でやってきた若者

【オンライン研修】

日之出産業(横浜市都筑区)の打ち合わせスペースのモニターに、若いアフリカ人の顔が並ぶ。新型コロナウイルス対策として日常化したオンライン会議のようだが、研修の様子だ。

同社はアフリカからインターンシップ(就業体験)を受け入れている。コロナの影響で集合研修が自粛となった期間、近隣のホテルに滞在するインターン生にオンライン研修を提供した。横浜市の職員に講師をしてもらったり、「アフリカのこれから」をテーマに座談会を開いたりした。急な研修内容の変更だったが、藤田香取締役は「満足してもらえたのでは」とほっとする。

同社は薬剤を使って排水を処理する技術を持つ。工業団地に本社がある中小企業だが、アフリカ出身者2人を正社員として雇用もしている。アフリカにこだわる理由について藤田取締役は「私がアフリカ好きだから」と素直に打ち明ける。もちろんビジネスとしても、成長が見込まれるアフリカに照準を定めている。だが、アフリカは遠く、中小企業が挑むのは「現実的でない」とも理解していた。

【国際会議が転機】

転機は2013年に横浜市で開かれたアフリカ開発会議だった。会場で政府関係者から「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」を紹介された。この制度は政府が主導し、アフリカの若者に日本での教育やインターンシップを提供する。藤田取締役は「アフリカに行けないなら、来てもらおう」と参加した。

初回はアフリカから9人がやって来た。当時、社員10人だった同社にすると研修生は大所帯だった。その後も毎年、受け入れているうちに大手企業も排水処理施設の見学で協力してくれるようになった。これまで受け入れた延べ50人の研修生には政府職員や起業家を志す優秀な人材が多く、アフリカの開発に貢献してきた。

【本業にも好影響】

日之出産業の本業にも好影響が出ている。母国に戻った研修生が同僚に同社を紹介し、顧客になりそうな現地企業に商品を薦めるようになった。「研修生がビジネスパートナーとなって商談を持ってきてくれる。アフリカで日本の排水処理と言えば日之出産業となった」(藤田取締役)と声を弾ませる。本格的なアフリカ進出はこれからだが、現地の人とネットワークができた。

途上国への国際貢献として人材教育を提供する企業は少なくない。関係を継続できる教育支援ができれば、中小企業にも途上国進出の足がかりとなりそうだ。

日刊工業新聞2020年7月10日

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