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新型コロナが直撃した日産、4-12月期生産は3割減の260万台

日産自動車は2020年4―12月期の世界生産台数を約260万台とする計画を、8日までにサプライヤーに伝えたことが分かった。集計方法が異なるため単純比較はできないが、前年同期の生産実績と比べると約3割の減少となる。新型コロナウイルス感染拡大による需要低迷で生産調整が続くが、10―12月期には前年同期とほぼ同等の水準への回復を想定する。21年1―3月期の生産計画は7月中にまとめる予定だ。

20年4―6月期の世界生産台数は約50万台を計画。前年同期実績と比べると6割弱の減少となる。既に発表している4、5月の生産実績は前年同月比6割を超える減少だったが、6月から減少幅の改善傾向が見込まれそうだ。その後も順次生産を拡大し、10―12月期は前年同期を若干下回るが、ほぼ同程度の生産水準まで挽回を計画する。21年1―3月期の計画は精査中で、7月末までにまとめる。

過去5年で1―3月期の生産台数実績が最も多かったのが17年の約150万台。20年12月まで計画通りに進み、21年1―3月期に17年の実績と同等の台数を生産した場合、20年度は400万台を上回る計算となる。ただ日産は20年度の世界全体の新車需要が前年度比約15―20%減少すると予想。仮に20年度の生産台数が全需と同様の減少幅となれば、19年度の生産実績458万台を大きく下回る約370万―390万台で着地する見通しだ。

日産の内田誠社長は6月の株主総会で20年度の世界販売台数見通しについて複数のシナリオを持っているとし、サプライヤーに対して「中長期的な数字のシナリオを見せることが急務になっている」と述べていた。

トヨタ自動車はグループで4―6月期は前年同期比4割減と予想していたが、想定を上回るペースで回復が進む可能性があるとしている。


日刊工業新聞2020年7月9日

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