野球部出身者の就活支援で話題になった人材会社、自社の“人材投資"で倒産という皮肉

トレジャー・トレーディング、営業攻勢で立て直しを図ったが…

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「野球人」など独自に採用サービスを展開し登録者は一時2000人に(写真はイメージ)

採用支援やOA機器事業を手がけていたトレジャー・トレーディングは、営業力を武器に成長を遂げていたが、過剰な人材投資、新事業の失敗を経て、2019年4月に破産という形で終止符を打った。

11年9月創業の同社は、零細企業・個人事業主を対象に発光ダイオード(LED)照明やOA機器を販売。「コスト削減」提案を得意とし、電話や紹介などの地道な営業で創業から4年後の15年には年売上高約4億800万円を計上するまで成長。人材投資にも注力して創業2年目から新卒採用を開始するなど、その後も積極的な採用を進めた。

順風満帆に見えた同社だが、次第に同業者間の競争が激化する。将来性を考慮し、増加の一途だった社員の有効活用を図るため、16年ごろから主力事業を大学新卒の採用支援へと大きくシフト。野球部出身者対象の就活支援「野球人」を展開し、野球以外のアスリート、美容業界などに特化した独自のサービスを提供。話題を呼び、約2000人の登録者を獲得していた。

しかし、初年度の売り上げが目標を大きく下回った上、内定辞退による返戻金が予想を上回る額となり資金繰りは悪化。自社で企画した就活イベントは集客に失敗し、顧客から信用も失っていた。17年には新卒社員30人が入社し、積極的な営業攻勢で立て直しを図ったが、17年の年売上高は約2億6500万円に落ち込み、大幅な赤字を計上。金融債務の返済にも窮し、返済猶予を要請していた。

再び回収サイトの早いOA機器事業で再建を目指したが、人材投資で販管費が相当額に膨らんでいたことから自転車操業に陥り、18年ごろからOA機器事業において顧客の旧リース契約を解約しないダブルリース状態で過剰に支払いを受け、運転資金にあてる資金流用を行っていた。その後も事態は好転せず、従業員に対する給料すら支払うめどが立たなくなったことで自己破産を申し立てた。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年7月7日

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