「メンバーレディ」で営業、ビジネスモデルが陳腐化した宅配業者の倒産
メイプルフーズ、経営者の“リスケ疲れ”も
会員制宅配事業を展開していたメイプルフーズは8月21日に破産開始決定を受けた。かつては神奈川県を中心に会員数は3万世帯を超え、ピーク時の2003年9月期には年売上高約12億5400万円を計上していた。
同社の営業現場を支えたのは約300人に及ぶメンバーレディ(販売員)と呼ばれる主婦を中心とする個人事業主たち。具体的には同社が製造ないし、仕入れた冷凍食品などをメンバーレディに販売、メンバーレディが直接消費者に転売する仕組みだった。
彼女らが窓口となって消費者の「生の声」を吸い上げ、新規勧誘に注力。主な顧客である60歳前後の女性層を中心に一定の支持を集めた。
しかし、近年は若年層をはじめ、新規顧客の開拓が進まなかった。ネット通販業者との競合も激化し、18年9月期の年売上高は5億円台に減少。食材価格の上昇や、顧客の高齢化による自然減もあり、赤字計上が続き、同期末時点で債務超過に陥っていた。その後も業況は改善せず取引先への支払いも遅れるなか、事業継続断念に追い込まれた。
主な破綻要因としては「ビジネスモデルの陳腐化」によるところが大きい。具体的には「メンバーレディを活用した営業手法」を指す。
近年はメンバーレディ自体の高齢化もあり、営業力は低下していたうえ、人材確保にも苦慮していた。アナログ的な勧誘だけでは会員数確保もままならず、他に有効な販促策も打ち出せなかった。
経営者の“リスケ疲れ”も主な要因のひとつ。メイプルフーズの場合、リスケ期間は5年に及び、年商規模の借入金、ジリ貧の業績、余裕のない資金繰りを前に、80歳近い代表が追い込まれていった姿は想像に難くない。
同じように返済条件の変更を受けながら業績が改善できず苦しむ企業は数多い。これらのリスケ企業が自ら事業継続を断念する「息切れ型」や「ギブアップ型」の倒産が今後増えそうな気がしてならない。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
メイプルフーズ(株)
住所:神奈川県相模原市南区相模大野7―8―10
代表:藤江敬氏
資本金:1000万円
年売上高:約5億4300万円(18年9月期)
負債:約4億7878万円>
同社の営業現場を支えたのは約300人に及ぶメンバーレディ(販売員)と呼ばれる主婦を中心とする個人事業主たち。具体的には同社が製造ないし、仕入れた冷凍食品などをメンバーレディに販売、メンバーレディが直接消費者に転売する仕組みだった。
彼女らが窓口となって消費者の「生の声」を吸い上げ、新規勧誘に注力。主な顧客である60歳前後の女性層を中心に一定の支持を集めた。
しかし、近年は若年層をはじめ、新規顧客の開拓が進まなかった。ネット通販業者との競合も激化し、18年9月期の年売上高は5億円台に減少。食材価格の上昇や、顧客の高齢化による自然減もあり、赤字計上が続き、同期末時点で債務超過に陥っていた。その後も業況は改善せず取引先への支払いも遅れるなか、事業継続断念に追い込まれた。
主な破綻要因としては「ビジネスモデルの陳腐化」によるところが大きい。具体的には「メンバーレディを活用した営業手法」を指す。
近年はメンバーレディ自体の高齢化もあり、営業力は低下していたうえ、人材確保にも苦慮していた。アナログ的な勧誘だけでは会員数確保もままならず、他に有効な販促策も打ち出せなかった。
経営者の“リスケ疲れ”も主な要因のひとつ。メイプルフーズの場合、リスケ期間は5年に及び、年商規模の借入金、ジリ貧の業績、余裕のない資金繰りを前に、80歳近い代表が追い込まれていった姿は想像に難くない。
同じように返済条件の変更を受けながら業績が改善できず苦しむ企業は数多い。これらのリスケ企業が自ら事業継続を断念する「息切れ型」や「ギブアップ型」の倒産が今後増えそうな気がしてならない。
(文=帝国データバンク情報部)
メイプルフーズ(株)
住所:神奈川県相模原市南区相模大野7―8―10
代表:藤江敬氏
資本金:1000万円
年売上高:約5億4300万円(18年9月期)
負債:約4億7878万円>
日刊工業新聞2019年9月24日