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「たくさんの能力組み合わせてゴールへ」オンラインで育成する丸紅人財

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、グローバルの人材育成面でも対応が迫られている。丸紅は、多様なキャリアや個性を持った“人財”を集め、イノベーションを思考・議論する場「丸紅アカデミア」で、オンラインを使った研修を実施。コロナ禍でリアルな接点を持つことが難しくなっている中で、いかに参加者を刺激し、行動変容につなげられるかが問われている。(浅海宏規)

「知識の習得や人材育成自体が目的ではなく、あくまでも企業価値の向上に向けた戦略を実行できるエバンジェリスト(伝道師)の養成が狙い」―。上杉理夫デジタル・イノベーション室長は、丸紅アカデミアの目的をこう表現する。

同制度は2018年度からスタートし、プログラムは英語で行う。20年度は日本人14人、外国人11人の合計25人が参加し、1週間のプログラムを年4回実施する。

6月に開いた1回目のプログラムは、すべてオンラインで実施した。例えばエコシステムのコンセプトでは、植木鉢の中にある花から、大きな木々がある庭に変化するイラストを表示。目の前にある植木鉢の花を咲かすことだけではなく、全体をエコシステムと捉え、他社とも協業をしながら、一つの大きな「庭」をつくることの重要性を学んだ。

リーダーシップに関するポイントでは、強烈なリーダーが全体を引っ張るのではなく、「“羊飼い”のようにたくさんの能力を組み合わせながらゴールに向かうことで、今までにない価値創造を目指したい」(上杉室長)という。

丸紅アカデミアのプログラムは、スタートの18年度と19年度を比べると、約8割のコンテンツを変えているという。

20年度の2回目以降について「オンラインの良い面も分かった。思考を止めることなく、従来の商社のスタイルから既存の枠組みを超えたビジネスモデルにつなげられるようにしたい」と上杉室長は強調する。コロナ禍においても変化に柔軟に対応し、行動を起こしやすい環境を整えていく。

日刊工業新聞2020年7月3日

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