自動車内装品加工メーカーを倒産に追い込んだ、メキシコの「乾燥」という落とし穴

気候に塗装環境合わず不良多発、工場投資に失敗した萬松

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新型コロナで自動車メーカーの工場休止も追い打ち(写真はイメージ)

企業活動で大きなターニングポイントとなる大型投資。その成否が企業の未来のカギを握ることとなるが、萬松は海外投資の失敗が尾を引くこととなった。

同社は1958年2月創業、60年3月に法人改組した。当初、工業用の塗料の販売を手がけていたが、74年に埼玉、77年には九州に工場を設立するなどプラスチック部品の製造に参入。最近ではプラスチック製品の成形加工が主力事業となっており、自動車用の灰皿、小物入れ、フロントパネルなど自動車用内外装品、携帯電話(ガラケー)やデジタルカメラ部品などの成形、塗装、組み立て作業を手がけ、2008年4月期には年売上高約50億400万円を計上していた。

しかし、海外投資で転機を迎えることとなる。11年2月、メキシコに製造子会社を設立したが、同国の乾燥した気候が塗装環境に合わず、塗装工程において塗装不良が多発したほか、金型の不具合による大量のロスが発生。回収不能な多額の損失が生じ、こうした対応に金融機関からの追加借り入れや手元資金を投入したことから同社の資金繰りが大きく悪化していった。

加えて17年秋ごろから大手自動車メーカーの業績不振に伴い、主要得意先からの受注が大きく減少し、埼玉工場の稼働率が低下。資金繰り悪化に歯止めがかからぬ状況となっていた。この間、金融機関から元本返済猶予を受けていたほか、18年1月には中小企業再生支援協議会に支援を要請。人員削減やスポンサー支援の模索など経営改善に努めたが奏功しなかった。

こうしたなか、新型コロナウイルスの感染拡大で、自動車メーカーの工場が休止したことで埼玉、九州の両工場の売り上げが激減。4月末の決済資金にめどが立たず、4月28日に東京地裁へ自己破産を申請した。

最終的には、新型コロナの影響が破産への決定打となったが、海外投資の失敗が大きな要因となった倒産だったと言えよう。

(文=帝国データバンク情報部)

日刊工業新聞2020年6月30日

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