発電効率65%!東ガスの業界最高水準燃料電池、商用化のターゲットはどこ?
東京ガスは発電効率65%と業界最高水準の高効率の固体酸化物形燃料電池(SOFC)を2020年代前半に商用化する。出力は5キロワットで、コンビニや商業店舗、事務所など小規模施設向けの電源を想定。電気料金の節約や二酸化炭素(CO2)排出削減が可能なほか、災害時の停電でも自立運転して発電を継続できる点などを訴求する。将来は50キロ―100キロワット級の中大型の開発も視野に入れる。
千住テクノステーション(東京都荒川区)で2台の試験運転を開始し、7月からはガスの科学館(同江東区)と田町スマートエネルギーセンター(同港区)でも1台ずつ試験運転を始める。実証試験を通じて耐久性や信頼性を評価。運用上の課題なども洗い出し、知見を積み重ねる。
高効率SOFCは、業務用燃料電池で実績のある三浦工業と共同で商品化する。森村SOFCテクノロジー(愛知県小牧市)のセルスタックを採用し、東京ガスが独自開発した高効率化技術をもとに商品化する。この技術は、1段目のスタックで発電した後の余剰のガスを再生して2段目のスタックに利用するもので、投入した燃料をより多くの発電に利用できる。部品選定やシステム簡素化などでコストダウンも図る。
SOFCを巡っては、大阪ガスなどが家庭用燃料電池で発電効率55%の製品を4月に発売。三菱日立パワーシステムズも出力220キロワットで発電効率55%の製品を投入している。発電効率65%は、これら既存のSOFCを大きく上回る。
東京ガスは、熱の需要が少ない中小規模施設には燃料電池システムを、ホテル、病院、工場などの大規模施設にはガスエンジン・タービン式のコージェネレーション(熱電併給)システムをそれぞれ提案し、市場全体をカバーしていく考えだ。現在は出力5キロワットのSOFCの商品化を進めているが、将来は店舗や事務所よりも大きな施設の需要もまかなえる出力50キロ―100キロワットクラスの開発も目指す。