ファンのチーム愛を刺激、エネルギー大手とプロスポーツの提携相次ぐ

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東電EPはプロ野球の巨人と提携して販売拡大を目指す

首都圏のエネルギー大手がプロスポーツチームと提携し、ファンに対象を絞った家庭用電気やガスの料金プランを始めている。小売り全面自由化後の競争激化の中で、料金以外で差別化する一環だ。料金の一部をチームに還元するなどして、ファンのチーム愛を刺激して契約を獲得する狙いだ。(取材・戸村智幸)

新電力が先行

プロスポーツチームとの提携は、新電力や地方の電力会社が先行した。KDDI系のエナリス(東京都千代田区)は、2014年にサッカーJリーグの湘南ベルマーレと共同で湘南電力(神奈川県平塚市、当時)を設立。電力小売りが全面自由化された16年に、神奈川県内の家庭向けの電気販売を始めた。

五つの地域貢献活動から一つを選び、電気料金の1%を充てる仕組みで、その一つが湘南ベルマーレの活動支援だ。湘南電力には現在、小田原ガスなど小田原市の複数企業が出資しており、同市に移転。地域との関係を強く打ち出す。

中国電力は16年に契約者向けポイントサービスの一環で、プロ野球の広島カープと提携。カープの勝利や抽選でポイントを付与し、試合チケットやグッズと交換できるサービスを実施している。

ここ数年では丸紅新電力(東京都中央区)が18年にJリーグの横浜F・マリノスと、伊藤忠エネクス系のエネクスライフサービス(同千代田区)が19年7月にJリーグの川崎フロンターレと提携。いずれも料金の一部をチームに還元する。

チーム愛刺激

エネ大手も追随する形で、新プランを始めた。東京電力エナジーパートナー(EP)は今年2月、プロ野球の巨人と提携した電気とガスのプランを始めた。東電EPは19年11月から沖縄を除く全国で電気を展開しており、巨人と提携の電気プランも全国で販売する。

巨人のファンクラブ会員は約30万人おり、人気は全国区だ。「全国販売にとって有力と考えた」(東電EP)。料金の0・1%が野球振興の支援に回るほか、巨人戦のチケットを抽選で進呈する。

料金プラン

東京ガスは19年12月設立の孫会社ヒナタオエナジー(東京都港区)が3月10日に電気・ガス販売をはじめ、JリーグのFC東京と提携した電気プランを用意した。マスコットキャラのステッカーを進呈するほか、試合観戦などの抽選特典がある。FC東京は東ガスのサッカー部が母体で、東ガスが一出資社であることで、提携に至った。

他のプランより月77円高いが、荒井登己子ヒナタオエナジー社長は「その分はチームの育成に使われる」と説明する。高校生や中学生年代の下部組織の強化に充てるという。

新型コロナウイルスの影響でプロ野球やJリーグが公式戦を実施できておらず、エネ大手は提携に水を差された格好だ。だからこそ、チーム支援などの発信やファン心をくすぐる特典の充実が求められる。

日刊工業新聞2020年4月1日

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