「1塁から3塁まで」300mのケーブル要らず!野球のボールを追うカメラの技術がすごい

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ボールトラッキングシステム「Baseboy」を操作する林社長

Qoncept 野球向けボールトラッキングシステム「Baseboy」

Qoncept(コンセプト、東京都千代田区)が開発した野球向けボールトラッキングシステム「Baseboy」は2台のカメラ映像の画像処理により投球・打球の3次元(3D)軌道を計測する。汎用カメラを使用でき、同期させる必要がないため、レーダー方式などに比べ大幅なコスト削減が可能だ。すでにナゴヤドーム(名古屋市東区)に導入しており、各地の野球場から引き合いがある。

同社はバレーボール、陸上競技、フィギュアスケート、相撲、テニスなどさまざまなスポーツ向けの画像処理技術を提供。Baseboyは映像からボールの位置を追跡し3D情報に復元する。3D軌道、ボールのリリースポイント、ストライクゾーンの通過、ボールの変化量といったデータを取得。テレビ中継やコンテンツ、ゲームなどに利用可能だ。

林建一社長は「野球の映像からスピードガンの記録を取得したい」という依頼を受け2018年に開発に着手。「卓球のトラッキングシステムを開発しており、これを応用できる」と判断した。

卓球の場合、2台の専用カメラを使い同期させて映像を撮る。一方で野球の場合、一塁側と三塁側にカメラを設置すると300メートルもの同期ケーブルが必要になる。「同期なしで高精度な画像処理を実現するのが課題」(林社長)だった。

そこで同期のない映像からでも対応点を割り出す仕組みを開発した。これにより専用ではない汎用のカメラを利用することも可能にした。計測精度はストライクゾーン付近で1センチ―2センチメートル。

また独自に開発したトラッキングアルゴリズムと3D復元処理は軽量で、ノートパソコンやスマートフォンでも操作できるのも特徴。「誰でも使いやすいようにインターフェースを設計した」という。

今後はシステムが全国の複数カ所に増えていくことを踏まえ、「計測データをクラウドを通じて1カ所に集約して処理できるようにしたい」と期待する。(編集委員・井上雅太郎)

日刊工業新聞2020年6月11日

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