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高強度「HCP構造」、チタン系で5元素以上の合金実現!生体・耐熱材に応用へ

阪大などの研究グループ

大阪大学の中野貴由教授、永瀬丈嗣准教授、新居浜工業高等専門学校の當代光陽准教授らは、六角柱を基本とした六方最密充填(HCP)構造を5元素以上の合金で実現した、チタン系ハイエントロピー合金の開発に成功した。金属3Dプリンターによる造形を視野に、5年後の実用化を目指す。HCP構造は高強度化や特定方向への機能発揮などの特徴を持つ。チタン系合金であるため、生体用インプラントや航空・宇宙分野の耐熱性材料などに応用できる。

これまで5元素以上で構成されるハイエントロピー合金でのHCP構造は、限られた合金系でしか得られていなかった。新合金はチタン、ジルコニウム、ハフニウムと、2種類の希土類元素で構成され、それぞれの元素が最適な割合の配合で高強度などにつながる。軽量・高強度で生体親和性の高いチタン系の開発により、応用範囲が広がる。

研究チームは人工知能(AI)を材料開発に応用する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」の手法を用いてHCP構造の形成に期待できる元素の組み合わせを選択。HCP構造のみから形成されるチタン系ハイエントロピー合金の開発に成功した。

新合金の開発で生体用チタン系ハイエントロピー合金の高強度化などに不可欠な構造制御技術や、HCP構造化が可能であることを実証。鋳造のままでHCP構造が形成される特徴を持つ。

日刊工業新聞2020年6月10日

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