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製造業のリモートワーク支援。富士通がツール無償提供のワケ

製造業のリモートワーク支援。富士通がツール無償提供のワケ

仮想工程計画と生産ラインのシミュレーション

富士通は、新型コロナウイルス感染症対策に取り組む製造業のリモートワーク支援を強化する。コロナ禍で在宅勤務や出社日数の制限などを推進する製造業が対象。設計工程で3次元(3D)CADを用いている企業に対して、生産準備工程支援ツールや3DCADソフトのライセンス(使用許諾権)を期間限定で無償提供する。既存顧客だけでなく、試し利用にも対応し、ニューノーマル(新常態)時代のモノづくり支援で新展開を目指す。

無償提供するのは3DCADデータを用いる設計工程と、生産準備工程を支援するソフトウエアツール3製品。無償期間は生産準備工程支援ツール「コルミナ デジタル生産準備VPS」が7月末まで。機械や装置などの大型設計向け3次元CAD支援ツール「コルミナ設計製造支援iCAD」と、解析業務支援ツール「コルミナCAE設計者向け構造解析」は8月末まで無償提供する。3製品とも状況に応じて期間延長も検討する。

VPSはCADで作成した製造製品の3Dモデルデータを活用し、実際の製品がなくても、検証作業や組み立て工程検討、製造ラインのレイアウト検討、各種ドキュメント作成を実現する。VPSユーザーに対しては、使用するデータを暗号化して、在宅勤務での情報漏えいリスクを低減する「VPSデータプロテクト」も併せて無償提供する。

製造業は工場での現場作業があり、コロナ禍の緊急事態宣言下でも、出勤を余儀なくされたり、業務を休止せざるを得なかったりしていた。これに対して、設計や生産準備業務などの前工程はパソコン画面上でのデジタル作業も多く、在宅勤務に向けたリモートワークの活用拡大が課題となっている。

今回の無償提供はこうしたニーズに対応するのが狙い。大手企業の場合、作業担当者が一斉に在宅勤務した場合、ライセンス数が現行の3―4倍になることもあるという。コロナ対策はもとより事業継続計画(BCP)や働き方改革として、リモートワーク環境を拡充すれば社内での業務を在宅でも継続することが可能となる。

日刊工業新聞2020年6月10日

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