LIXILが600億円でホームセンター事業を売却するワケ
主力の住宅設備事業に専念
LIXILグループは9日、ホームセンターを手がける上場子会社LIXILビバを売却すると発表した。新潟県でホームセンターを展開するアークランドサカモトがビバに実施するTOB(株式公開買い付け)に応じる。保有する全ビバ株53%を約600億円で売却する。LIXILは主力の住宅設備事業に専念し、安定的に利益の出る会社を目指す。
LIXILの瀬戸欣哉社長は9日にオンラインで会見し、「当社はメーカーであり、本業はハウジング事業(住宅設備)とウオーター事業(水回り製品)」と語り、ホームセンター事業を手放して本業に集中する考えを示した。
アークランドサカモトによる買い付け価格は1株2600円で、買い付け期間は10日―7月21日。成立すればビバは上場廃止となる。ビバはさいたま市浦和区に本社を構え、関東中心にホームセンター「ビバホーム」など約100店舗を展開する。2020年3月期単体の売上高は1885億円。売却後も店舗名は継続し、店舗の統廃合の予定はないという。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が不透明で、LIXILは21年3月期連結決算の業績予想を未定としているが、今回のビバ売却により今期に約200億円の子会社売却益を計上する予定だ。
LIXILの20年3月期連結決算(国際会計基準)は最終損益が125億円の黒字と、19年3月期の521億円の赤字から脱却した。主因はイタリアの外壁材子会社「ペルマスティリーザ」の損失縮小で、LIXILは5月にペルマ社の売却を決めた。決算説明会で瀬戸社長は「(ペルマ社とは)シナジー(相乗効果)があまりなかった」と述べ、本業との関連性を重視し、事業を絞り込む姿勢を示していた。
日刊工業新聞2020年6月10日