「気象災害は備えられる」 水害対策強化で企業資産を守る

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地理情報システム(GIS)を活用し、自然災害などの情報を顧客に提供する

東京海上日動リスクコンサルティング(TRC)は、経営上のリスク評価や課題解決を支援するサービスを提供する。自然災害関連で強化しているのが水害対策。地震を想定した事業継続計画(BCP)の策定率は東日本大震災を契機に高まったが、水災は不十分な企業も多い。近年の激甚化・多発化する台風や豪雨から企業資産を守る。

時系列で整理

池田昌子エキスパートリスクエンジニアは「気象災害は地震と異なり事前に備えられる。初動対応の充実が重要」と指摘する。そこで推奨するサービスが防災行動とその実施主体を時系列で整理する「水害対策タイムライン」の策定だ。2018年の西日本豪雨など大規模な水災が増えており、被災を免れた企業を含め照会数は多い。

タイムラインを策定すると、大雨や洪水注意報など警戒レベルごとの対応を整理でき、有事の際も落ち着いた行動を期待できる。TRCは東京海上日動火災保険の契約者にサンプルを提供しているが、全国に拠点を持つ企業ほど自前の作成は難しい。関連部署やメンバーが広範で、行動の発令主体などを取り決めることが複雑になるためだ。

そこでTRCは業種や立地、個別の事情を踏まえた水災対応の整理を支援。台風の予想進路が明らかになった段階で行動の発令を出すなど“トリガー”の選定などでも知見を発揮する。

リモート診断

併せてハザードマップにのっとった初動対応も提案している。例えば20―30センチメートルの浸水が予想される拠点であれば、建物構造に準じた止水板の設置、2メートル級ならば減災に軸足を移し、早期の事業復旧や被害の最小化を提案する。必要な設備投資額の見積もりも作成するため、企業はステークホルダー用に投資対効果を説明する資料としても活用できる。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、リモート診断サービスを検討

現在、TRCが新たに検討しているサービスが水害のリモート診断だ。本来は現地調査が基本だが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、社外の関係者が拠点に立ち入るのを制限している企業も多い。そこで企業側が用意した画像などを基に遠隔でリスク評価を実施する。

現地調査と異なり、重要な建物や設備に対象を絞るワンポイントアドバイスが特徴。電気や水道などのインフラ設備や生産ラインといった停止すると経済損失が大きい“工場の心臓”部分に焦点を当てる。「ワンポイントであったとしても、初めてコンサルを受けるお客さまに気付きをご提供できる」(池田氏)と自信をみせる。本格的な台風シーズンを前に、提案している複数の企業は好意的な反応だ。

今後はデジタルの取り組みも強化する。ハザードマップ上の顧客の拠点にリアルタイムで起きている災害を重ねあわせた情報の提供を視野に入れる。「デジタルを活用したハザードマップを整理することで、お客さまに提供する情報の付加価値を高めたい」(同)と意気込む。コロナ禍でも、いつ発生するかわからない自然災害から顧客資産を守るメニューを拡充する。(増重直樹)

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